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アベノミクスで大企業の給料上がっても中小上がるのは1年後

 永田町や財界、大メディアを巻き込んだ、アベノミクス狂騒曲のなかで、なぜか声高には語られないテーマがある。結局、私たちの給料はいつ上がるのか? ということである。
 
 円安も株高も企業の業績改善も、一般国民の懐に反映されなければ意味がない。しかし多くの企業では、たとえ業績が回復しても内部留保などに回し、従業員の給料アップにまでは及ばない可能性がある。

 そうした事情は政府もわかっているから、インフレ目標と違って「給料がいつ上がるのか」の目途は出そうとしない。安倍政権の経済ブレーンの竹中平蔵・慶大教授は、先に出演したテレビ番組で、「半年や1年で給料が上がるという簡単なものではない。うまくいっても、3年ぐらい見ておかなくてはいけない」と本音を漏らしている。

 アベノミクスが成功したとしても、賃上げまで3年もかかるのか……とがっかりする向きも多いだろうが、仮に3年で上がるとしても一部の大企業だけの話で、中小企業とはタイムラグが生まれる。東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏はいう。

「大手メーカーは業績が回復する過程で、収益改善と需要への対応を同時に進める。具体的には調達コストのカットが行なわれます。調達コストのカットは、言い換えれば中小企業から製品を買い叩くということ。多くの中小企業にとって大企業との取引は、金額が大きくても利益がほとんど出ない商売ですから、経営的にはむしろ厳しくなる。その時期に賃上げなど論外です」

 大企業が賃上げする場合でも、中小企業の賃上げは早くてもその1年後になるという。それまでは物価も上がるわけで、実質的には賃下げ状態のままだ。

※週刊ポスト2013年3月1日号

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