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企業が商品PRのために作る「認定記念日」は審査ありの登録制

 3月3日は「ひな祭り」だけではなく、意外な食べ物の「記念日」でもある。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が「3月3日」を通して記念日のあり方を考える。

 * * *
 3月3日と言えば、ひなまつり──桃の節句である。白酒、菱餅、ひなあられなど、いまではこの日にしか口にしないような、特別な行事食も多い。

 一方、日本記念日協会の認定記念日で3月3日を見てみると「桃の日」「ポリンキーの日」「みたらしだんごの日」(毎月3、4、5日)などでもある。

 実は節句のような古くからの記念日を除いた、近年の記念日は企業や団体がPRを兼ねて日本記念日協会に申請して「制定」されることが多い。

 例えば「桃の日」は「桃の節句」にちなんだものだが、実は制定したのは「日本たばこ産業株式会社(JT)。1996年に発売された「桃の天然水」と「桃の節句」をかけて、同年の3月3日に制定された。

 また、「ポリンキーの日」はスナック菓子メーカー湖池屋によるもの。「商品の形である三角形から3が重なる日に」と3月3日に制定されたという。

 そして「みたらしだんごの日」を制定したのは山崎製パン。「み」(3日)たら「し」(4日)だん「ご」(5日)という語呂合わせが由来なのだとか。毎月、3~5の3日間×12か月=年間36日が「パン祭り」ならぬ「みたらしだんご祭り」が開催されるようなものだろうか。

 ちなみに日本記念日協会の認定記念日は審査を経ての登録制となっている。同協会のHPによれば、記念日登録料は1件あたり7万3500円。同一記念日が年に2日以上4日までは、1件につき14万7000円。同一記念日が年に5日以上12日まで(毎月同じ日を記念日とする場合など)は1件22万500円。同一記念日が年に13日以上のときは該当日が1日増えるごとに1万500円(税込み)が加算される仕組みになっているという。額入りの記念日登録証を求めると、さらに別途費用がかかる。

 この計算式で考えると、「みたらしだんご」は、「同一記念日12日まで」の22万500円+25万200円(24日×1万500円)=47万2500円。このくらいの予算であれば、広報・宣伝活動の一環としては決して高くないと考える企業も多いようだ。

 日本記念日協会の認定記念日は企業や団体だけでなく、個人での申請・登録も可能となっている。ちなみに「記念日」を制定するのに、特に同協会や他の団体の認定が義務づけられているというわけではない。

「記念」を辞書でひくと、「あとの思い出として残しておくこと」(大辞林)とある。つまり「記念日」とは周知するための日というより、記憶に残すべきものを見つめ直す日となる。ひな祭りにしても、本来の目的は人形を飾ることではない。女の子の幸せと健康を祈念する日のはずである。

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