靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
82%(JNN調査)という歴代2位の高支持率で好スタートを切った高市早苗・首相だが、内政も外交も課題は山積、少数与党の舵取りは容易ではない。それゆえ、水面下では政権を盤石にするために一歩間違えば大きな反発を招きかねない“一か八かの賭け”に出る極秘プランが浮上していた──。【全3回の第1回】
安倍元首相と同じ日に
高市自民と連立を組む日本維新の会の藤田文武・共同代表の公金還流疑惑が炎上したのに続いて、立花孝志・NHK党党首が名誉毀損容疑で逮捕され、同党の議員が自民党との統一会派を離脱する事態になった。
高市首相はイメージダウンを挽回せんと保守派の「高市カラー」を前面に押し出してきた。
11月7日の衆院予算委員会で中国による台湾の海上封鎖が発生した場合、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態(日本の集団的自衛権行使の対象になる)になり得るケースだ」と答弁し、従来の政府見解より踏み込んだ。
中国側は呉江浩・駐日大使がSNSで「『台湾有事は日本有事』をあおり、日本を中国分断の戦車に縛り付けるなら、引き返せない誤った道を歩むだけだ」と批判。中国外務省も「内政への粗暴な干渉」と非難し、立憲民主党は答弁撤回を求めたが、高市首相は拒否。
外国人規制をめぐっても“タカ派”路線を鮮明にした。自民党に総裁直属の「外国人政策本部」を立ち上げて初会合を開き、外国人の土地取得規制などの議論をスタートさせた。しかも、国会で自身の総裁選演説会での外国人批判発言の撤回を求められると、「撤回しろと言われても、撤回するわけにはまいりません」とこちらも頑として拒否したのだ。
ちなみに総裁選での外国人批判とは、
「奈良の鹿を足で蹴り上げるとんでもない人がいる。外国から観光に来て、日本人が大切にしているものを痛めつけようとする人がいるとすれば、何かが行き過ぎている」
という発言だ。
高市首相にすれば「台湾有事は日本有事」は持論であり、外国人の投資規制も総裁選での公約ではあるが、ことさら“強い高市”の姿勢を示すことで岩盤保守層の支持を固めようとしているように見える。
そうしたなか、自民党の高市支持派議員の間で一つの情報が流れている。
「臨時国会の閉会後、総理は靖国神社を電撃参拝するつもりだ」──。
高市氏はこれまで大臣在任中を含めて靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきたが、自民党総裁就任後の今年10月17日からの例大祭には玉串料を納めたものの、参拝は見送った。その後にトランプ大統領の来日や韓国で開催されるAPEC首脳会議の日程を控えていたことを考慮したとされる。
だが、中国、韓国との首脳会談はすでに終えた。国会が閉会すれば外交的にも政治日程上も靖国参拝の制約が少なくなるタイミングなのは間違いない。しかも、高市首相の靖国参拝となれば、保守層へのアピール力は台湾有事や外国人規制に関する国会答弁の比ではないだろう。
その参拝Xデーの最有力候補と見られているのが12月26日だ。
