ビジネス

JR、地下鉄、私鉄 オールジャパンで海外鉄道事業をコンサル

 日本の鉄道会社の中で最大規模を誇るJR東日本は、2011年3月11日に起きた東日本大震災を国鉄改革に次ぐ「第二の出発点」と位置づけた。社会インフラとしてはもちろん、日本を代表する企業として、同社はどんな未来へレールをつなげようとしているのか。

 しかし、日本の車両製造事業は世界市場で後れを取っている。 鉄道車両メーカーの市場占有率は、「ビッグスリー」と呼ばれるボンバルディア(カナダ資本、鉄道部門の本社はドイツ)、アルストム(フランス)、シーメンス(ドイツ)で56%を占める。日本勢は全社合計でもビッグスリーの1社に及ばず、9%にすぎない。

 しかもビッグスリーは早くからグローバル展開を強力に進めており、成長が期待される中国、ブラジル、インドなどで鉄道に関する特許を多数出願するなど、地盤固めに余念がない。車両以外にも線路や信号装置を製造するなど、鉄道に必要な全案件を1社で受注可能という強みを持つ。

 対してJR東日本は、実際に鉄道事業に携わっているという長所を活かす戦略で巻き返しを図る。

 2011年11月、同社が中心となって海外鉄道事業者向けにコンサルティング業務を行なう「日本コンサルタンツ(JIC)」を設立した。

 JR東日本が53%、JR西日本と東京地下鉄が20%ずつを出資し、JR九州や東京急行電鉄、西武鉄道、京王電鉄なども参加する“オールジャパン”企業だ。同社はすでにインドの高速鉄道の事前調査事業を落札したのをはじめ、インドネシアやベトナムの案件に乗り出している。

 さらにJR東日本はこの3月、シンガポールに事務所を新設。アジアの鉄道事業計画を取り込む拠点と位置づける。

 アジア諸国では、日本の鉄道に対する信頼が高い。日本政府がODAの一環としてインドネシアやタイなどに国産の中古車両を数多く輸出した実績があるからだ。

「日本製の車両は大きなトラブルもなく走っています。現地では車両に限らず、『日本の鉄道システム全体が欲しい』という声も出ている」(政府関係者)

※SAPIO2013年4月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト