ライフ

富士登山の有名人 元会社員は75日間連続で1日に2回登頂した

 登山ブームのなかでも富士登山は大ブームだという。世界文化遺産に登録されることで、今後ますます注目が集まる富士山を日常的にのぼる人たちについて、作家の山藤章一郎氏が報告する。

 * * *
 バカデカリュックをかついだ40半ばの女性に、頂上まで行くのかと尋ねると「あたしゃ死ぬ」と笑った鉄火姐さんは〈ボッカ〉を説明してくれた。〈ボッカ〉は〈歩荷〉と書く。背負子に段ボール詰めの荷を何段にも重ねて担ぐ。かつては登山案内も兼ねる〈強力〉と呼ばれる男仕事だった。

「いまは、山小屋などの従業員です。あたしゃ、そこの佐藤小屋の女房だよ。1日に2回、往復1時間の山道を登ったり下ったり。缶ビール、軽油、食材、薪。なんでも運ぶさ。山なんか、大嫌いなんだけどね」

「山嫌いで……毎日荷をしょって登ったり下ったり、ですか」頭が下がった。

「そうだね。でもまあ、富士山には凄い人がいっぱいいるからね」いわれて後で調べた。これがオー! トリビア。

〈梶房吉〉さんは、50年の強力生活で、合計、富士山頂に1672回登りました。

〈小俣彦太郎〉さんは、最後の強力といわれ、86歳で800回の登頂記録を樹てました。

 強力ではなく、元・会社員の〈実川欣伸〉さんは、75日間連続で1日に2回登頂しました。2日半眠らず8回登頂した、たまげた記録も持っています。

〈佐藤小屋〉をめざす。崖道がうねうねと山にへばりついて続く。雪解けがぬかるみ、崖は谷側に深くえぐれ、踏み固められたアイスバーンもある。佐藤小屋の〈ボッカ〉姐さんはここを毎日背に20キロ、30キロを担いで、2往復する。

 黙々として悠々たる人生である。深く敬服する以外に、ない。

※週刊ポスト2013年6月7日号

関連キーワード

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン