国内

日本の右傾化説に「旧田中派主導の外交へのアンチテーゼ」論

 安倍首相が中韓を刺激するような発言を繰り返すことで、海外からも安倍政権の右傾化を危険視する声があがっている。実際、米議会の報告書でも「ストロング・ナショナリスト(強硬な国家主義者)」と記述された安倍首相は、なぜ強硬姿勢を撮り続けるのか? 大前研一氏はこう解説する。

 * * *
 なぜ、安倍首相は中国や韓国に対して強硬な態度を取るのか? もしかすると、対中問題・対韓問題を“カネと密約”で解決しながら、国民に真実を隠して利権を独占してきた旧田中派(および、それをさらにねじれさせてきた外務省)主導の外交に対するアンチテーゼなのかもしれない。

 田中角栄と周恩来、それに続く鄧小平の時代に、巨額の経済的支援を打ち出して日中国交正常化を実現し、尖閣問題は棚上げとされたが、国民には「日中平和が大事」と説明されただけだった。棚上げしたことは隠されていたのだ。

 長く自民党内で続いた田中派vs反田中派の構図の中で、「反」であった安倍首相が田中派に対する積年の恨みを晴らし、“密約に基づいた曲がった戦後史”を書き換えようとしている、と分析できる。

 そういうやり方は間違っていると私は思うが、百歩譲って”正しい歴史”を掘り起こし国民にもそれを伝えようとしているとしても、今の安倍首相には、それについて国民や国際社会に丁寧に説明して理解を得るだけの十分な知識と能力があるとは思えない。また、彼に与えられた首相としての時間も足りないだろう。

※SAPIO2013年7月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン