現在放送中のアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』(MBS-TBS系)は39年前に第1作が放送され社会現象になるほど大ヒットした「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク作品だ。完全リニューアルされた今作は、ハリウッド映画に比肩するレベルの作品になっている。誰もが驚く精密なメカ描写は、手描きの作画から3D技術を駆使できる現代だからこそ自由になった部分が大きいという。
とはいえ、メカの描写が精緻なのは、単に3DCGを活用していることだけが理由ではない。ヤマトの設定は細部まで詰められた詳細なものだが、ヤマト以外のメカについても同様にディテールが決められている。零式52型空間艦上戦闘機コスモゼロの設定図をみると、コックピット周辺の詳細なものだけでなく、シートベルトの形状やエンジン、機首の折りたたみ部分など図面は30枚ちかくにわたる。
また隊長用と一般隊員用で戦闘機の機体デザインを一部変えるなど、動画では見分けがつかないような部分にまで、神経を尖らせている。
全長333メートル、乗組員999名の巨大戦艦では、多彩なキャラクターたちがリアルな群像劇を織りなす。そのため、旧作とは異なる人物設定になる場合もある。
熱血漢として描かれていた主人公の古代進は、群像劇を際立たせる意味から冷静で落ち着いた性格になった。逆に、真面目だった島大介は一見ノリのいい軽い人物に見えるが、実は家族思いの優しいキャラクター設定になり、物語に深みを与えている。
ほかにも、艦内放送のDJ・岬百合亜は、見えないものが見える霊感を持つというユニークな女性として描かれている。
※週刊ポスト2013年7月5日号