7月スタートのドラマは15番組中『半沢直樹』(TBS系)や『DOCTORS 2 最強の名医』(テレビ朝日系)、『なるようになるさ。』(TBS系)など7本が、第1回で視聴率15%を超え、好調をキープしている。
その一方で刻々と変化する時代を時に先取りし、時に併走し、また時には振り返る物語を紡いできたドラマが元気を失っていくのは、2000年代に入ってからだ。「テレビがつまらない」と盛んにいわれるようになったのもこの頃。なぜか――
第一の理由に、ドラマの制作費削減が挙げられる。元テレビプロデューサーで、上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義さんは、内情をこう説明する。
「バブルがはじけても、しばらくはテレビ局はそのあおりを受けずに済んだのですが、2003年をピークに制作費の削減が始まりました。そして決定的だったのが2008年のリーマン・ショックです。これでさらに削減が進みました」
リーマン・ショック前には8000万円の制作費だったドラマを今では、5000万円程度で作らなくてはならないという。その結果、何が起きたかといえば、スポンサーの力が強まった。制作費をねん出するためにはスポンサーを少しでも多くつける必要がある。それは、制作現場をも変えていった。
「初めに脚本があり、その内容に合った役者さんを選ぶのが王道。しかし、まずスポンサーを説得するために、人気俳優の1年先のスケジュールを押さえることが優先され、その俳優に合わせた作品を作るようになりました。これでは面白いドラマが作れません」(テレビ局プロデューサー)
また、この頃から、メディアの多様化も進んでいった。家の娯楽がテレビしかなかった時代はすでに終わり、インターネットの普及とともにパソコンが一般化した。ドラマウォッチャーの堀井憲一郎さんは、これもドラマ離れの理由だという。
「ネットの普及で情報があふれ、個人の嗜好が細分化するようになりました。結果、大衆が支持するような物語は求められなくなり、ターゲットを絞りにくくなりました。だから、高視聴率ドラマが生まれなかった」
こうしたさまざまな理由から、2000年代のドラマから、“あるもの”が増えていった。
「ある程度の数字が見込めなければ、ドラマの企画そのものが通らないんです。ヒットしている海外ドラマをモチーフにした話や売れている小説や漫画原作ものだと、企画が通りやすい。結果、オリジナリティーがないドラマが増えていきました」(前出・テレビ局プロデューサー)
※女性セブン2013年8月15日号