飲食店のアルバイト店員が続々と「やんちゃ行為」をネット上にアップするのが半ば「ブーム」のようになっているが、外食産業の関係者は「かつてほど厨房でやりたい放題するのは難しくなった」とする。
「辞めさせたアルバイトが腹いせに、『あの店は賞味期限切れの食材を使っている』『衛生管理が酷くてネズミだらけ』といった裏事情を写真付きでネットに書き込むことが増えてきた。一度評判が悪くなったら挽回は難しいから、バイトに証拠を押さえられやすい食材の使い回しなどはやりづらくなった」
というのである。ただし、そうした自浄作用が一部の話であることも事実だ。“厨房はネズミの運動会”とは昔からよく聞く話だが、ここ1~2年は駆除剤が効かない「スーパーラット」と呼ばれるクマネズミが大増殖。
東京・六本木のある飲食店では、「仕方ないから残飯を厨房の隅に置いて、エサにしている。最近は人間が近くにいても何匹も現われて平然とそれを食べてますよ」(店員)という。ネズミたちは料理を盛りつける調理台の上も散歩。「見かけるたびにふきんで拭いてはいる」というのだが……。
モラルの問題もある。「1人前が100g設定だったら、2人前は180g、3人前は250gというふうに少しずつ減らしてもバレない」(焼き肉店アルバイト)「生ビールの泡が提供前に消えていたら、割り箸をジョッキの中に入れて上下させると“復活”する。かき回すとこぼれるから上下に動かせと先輩に教わった」(大手居酒屋チェーンアルバイト)といった話は序の口。
「最近は化学調味料を水に溶かした液を焼き物にスプレーするのが流行っている。焼き鮭や焼き鳥などで、食材の質の悪さを誤魔化せるんです。時間が経つと水が浮いて腐りやすくなるからスーパーでは使えない裏技。“魔法のスプレー”ですね」(飲食店経営者)
外食産業で何が行なわれているか、気にしすぎたら何も食べられない。だが、「自分がどんなものを口に入れているのか」を我々はもう少し知るべきかもしれない。
※SAPIO2013年9月号