中国では国内に限らず、海外メディアに対しても報道規制が強まっている。中国事情に詳しいジャーナリストの相馬勝氏が解説する。
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最近話題になっているのが中国当局の米経済専門通信社ブルームバーグへの“圧力”だ。同社は昨年6月下旬、習近平・国家主席のファミリーが分かっているだけで、総額で30億ドル(約300億円)もの資産を形成したと報じた。この報道はスクープで、香港のほか、全世界のメディアが引用して伝えた。
ところが、これが当局の逆鱗に触れたのか、昨年11月の中国共産党の第18回党大会など重要な会議の記者会見への出席を拒否されたり、特派員の取材ビザが下りないなど、さまざまな規制を受けている。
さらに、同社は世界の経済情報を中国企業向けに配信しているが、解約する企業が相次いで、ビジネス環境が悪化しており、約100人の記者をリストラするなどの非常措置をとらざるを得ない状況に追い込まれている。
最近では香港支局の記者が1年間かけて取材した中国高官関連のスクープ記事が同社の編集幹部によって握りつぶされ、配信できないという“自己規制”騒ぎも伝えられている。この記事は党・政府高官の子弟が大手投資会社に就職し、大手国有企業の株式上場の情報を漏らしたことで、外資が巨利を得るという内幕モノのスクープだったが、「これが出たら、我々は中国から追放されかねない」として、「ボツ」にしたというもの。
しかも、この記事を書いた記者は停職処分になり辞職に追い込まれたとの情報も出ている。