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昭和名優の口説き方 三船敏郎は強引、森繁久彌は洒脱だった

 夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(50歳)が食品会社勤務の奥様(47歳)。ご主人、ウンチク好きだとか。

 * * *
 ロビーで入場待ちの時、大声で私に「こんなエピソード知らないだろ?」と、そばにいる人たちに聞こえよがしに話すんです。

「佐藤浩市の浩市っていう名前、父親の三國連太郎が、自分の親しかった監督、稲垣浩と市川崑にあやかって名付けたんだ」

「昔の名優たちは口説き文句も個性があった。銀座でホステスさんを口説く時、三船敏郎は強引に『いいから、いいから』。二枚目の池部良は『わかんないよ、わかんないよ』と女性にそっと耳打ち。洒脱な森繁久彌は相手のひざの上に手を乗せて、『1回だけ、1回だけ』」

 客席に座っても上映時間まで話を続けます。先日なんか、隣の席の若い女性から「映画界のこと、お詳しいんですね」と話しかけられた主人。「ええ、まぁ」と悦に入り、「まだまだ、ありますけど、まずはお口を潤して……」。自分のジュースと間違えて、隣の女性のジュースを飲んでしまい、「私のです!」と一喝される始末。「何とか挽回を」と思ったのか

「この映画の原作本、昨夜遅くまでかかって読んだんですが、最後に二人は別れるんですよ」
「も~、ネタバレやめて!」

 女性はそう叫んで離れた席に移動してしまいました。主人ですか? 前夜の寝不足がたたったのか、映画も観ずに爆睡してましたよ。

※週刊ポスト2013年12月13日号

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