国際情報

中国大都市圏で同性愛エイズ患者拡大 一人っ子政策の影響も

 中国では男性の同性愛者が年々増加しており、それにともないエイズ感染者も急増していることが明らかになった。特に北京ではエイズ病患者が前年比20%以上も増加。その大半が男性の同性愛者だという。「北京晨報(しんぽう)」が報じた。

 中国の同性愛者は全国で3000万人以上といわれ、その大半が男性とみられている。この背景には、中国政府が1980年から実施している一人っ子政策がある。男女の比率は男性が130に対し女性は100で、圧倒的に女性が少ないことも影響しているといわれている。

 中国では最近まで同性愛は精神的な疾患とされていた。ところが、中国社会科学院の調査結果によると、「同性愛者であることが職業選択にあたって不利な条件になるか」との問いに「ならない」と答えた人が米国の86%を超えて、中国では90%にも達したという。中国社会が同性愛により一層寛容になったことも、同性愛者が増えている大きな原因の一つとみられる。

 今年12月1日の世界エイズデーを前に、北京市が調査した結果では10月末現在、北京市のエイズ病患者は1万5183人で、男性患者の場合、その96.7%が同性愛者で、男性同士の性行為によってエイズに感染していることが分かった。しかも、同性愛関係になって5年以内に発病しており、潜在的なエイズ感染者を含めて、今後とも増加することが予想されるという。

 日本の国立感染症研究所によると、男性の同性愛者間のエイズ病感染者数の拡大は全世界的傾向であり、なかでも中国においては、新規感染者報告に占める男性の同性愛者の割合は1985~2005年の間では0.3%だったものが、2007年には12.2%に増加。2009年には一気に32.5%へと急増している。

 中国の男性同士の同性愛は大都市圏を中心として拡大しており、その有病率は中国全体で約6%で、北京や内陸部の四川省重慶市や成都市などの大都市圏では10%を超える水準に達している。

 しかも、中国の特異な傾向として、同性愛者の男性の70~90%が既婚あるいは結婚する予定であるということだ。米国では、この割合はわずか15~20%にとどまっている。中国で同性愛者の男性と結婚した女性は2500万人に上ると指摘する専門家もおり、夫との性行為によって、エイズに感染する女性も少なくない。

 これも一人っ子政策の影響が色濃く、一人っ子の男性は親を喜ばせるため、同性愛者であることを隠して結婚し、子どもをもうけようとするためだ。まさに、一人っ子政策による悲劇的な結末というほかはない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン