大阪天満宮に近いこの界隈の名物おでん梅焼き
お造り、煮物、湯豆腐等々、肴メニューはうまそうな手書き文字で書き出されているが、なかでも、12種類ほどのタネがあるおでん。
「食わなくても死にはせんが、食わずには死ねん。特に、梅焼きとトマトの味は、日本中に宣伝してほしいな」(60代)
ここは天満の天神さん(大阪天満宮)のお膝元。だからこの界隈だけの名物として、梅の花を模った練り物を串に刺した梅焼きがある。そして「注文をもらってから鍋に入れて、形が崩れる手前で取り出すのがおいしさの秘密」(俊子さん)というトマト。
食べながら思わずおかあはんと目をあわせてうなずいてしまううまさと言えばわかってもらえるだろうか。
「こんな感じでいつも混んでいて騒がしいんだけど、奇跡的にふっと静になる瞬間があるんです。アンジュ・パッセ、天使が通過した瞬間って言うんでしょ。まだここに通って1年にもならないけど、いっぺん体験してるんです。それからずっと考えているのは、そのときにこのおでんをつまみながら、甘くなくて素直な飲み口が気に入ってる焼酎ハイボールを飲んでいたいってことなんですよね」(40代)
残念ながらこの夜は天使の訪れはなかったようだ。
「天使はもちろん、老若男女いろんなお客に来てもらえる店にしていきたい。銭湯の立ち飲みや版を目指しているんです」(政秀さん)