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桐谷広人氏 失恋を機に株始めた後信用取引で破産寸前の過去

 現金をほとんど使わず、株主優待品のみで生活を続ける異色の投資家「桐谷さん」こと、元プロ棋士の桐谷広人氏が大ブレイク中だ。そんな桐谷さんが、自身の波瀾万丈の株式投資の歴史を振り返った。

 * * *
 私が株式投資を始めたのは1984年のこと。失恋のショックがきっかけです。今年で29年になりました。現在、約600銘柄保有していて、このうち約400銘柄が株主優待株です。

 今でこそ優待メインの投資スタイルですが、かつては信用取引で破産寸前まで追い込まれ、地獄を見ました。2006年以降、ライブドア・ショック、サブプライム・ショック、リーマン・ショックと、ボコボコにされてしまうのです。2005年12月に約3億円あった資産が、6分の1の5000万円弱まで減ってしまいました。

 特にリーマン・ショックに襲われたときは、毎日、生きた心地がしませんでした。ある日、パソコンで証券会社の取引ページを開いたら、画面が真っ赤になっているんです。愕然としました。「建玉1億円、マイナス5000万円」。追証のアラートでした

 信用取引は、証券会社から借金をして投資するわけですから、金利も発生します。証券会社に支払う金利だけでも年間400万~500万円。期日が来て清算しなければいけない支払いにも追われ、その額は多い月で1000万円にも上りました。現金も不足し、金策に奔走する日々でした。

 さすがにもう首がまわらなくなり、故郷の広島に戻る覚悟もしました。その一方で、優待品がどんどん届くんです。保有株の多くを売却しましたが、売ったのは株主優待のない値がさ株が中心で、株主優待のある銘柄は株価が下がっても残しておいたんです。優待品の食品などで毎日をしのいでいるうちに、2012年12月に安倍政権が誕生。アベノミクスの追い風を受け、無間地獄からようやく抜け出すことができました。

 どん底の中で始まった優待品で暮らす生活がテレビで取り上げられ、注目されるようになったわけですから、人生面白いものです。人生が好転してきたのは、株主優待のおかげだと思います。

【プロフィール】
●桐谷広人(きりたに・ひろと):1949年生まれ。現役プロ棋士時代から株式投資を始め「財テク棋士」と呼ばれる。2007年に現役引退後、優待投資家として注目を集め、現在『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)にイレギュラー出演中。単行本『桐谷さんの株主優待ライフ』(小学館)が好評発売中。

※マネーポスト2014年新春号

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