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増加する主婦パートの正社員登用 高いコミュ力に期待高まる

 主婦のパートを積極的に正社員にしようとする企業が増えている。それも、主婦が働きやすい条件を整えて。

 例えば、新潟県に本社のある、着物専門のケアをする会社「きものブレイン」は、全社員253人のうち、7割にあたる185人が女性だ。パートから正社員になった女性は30人。最高齢は67才。さまざまな年齢の女性が、それぞれの都合に合わせて働いている。副社長の岡元眞弓さんは、パートから正社員への登用を「結構あるんですよ。うちでは珍しいことではありません」と話す。

 まずはパートとして働き始め、仕事に慣れてくると、ステップアップのチャンスが訪れる。

「1年ほど経ち、『パートじゃもったいない』という声が周囲から上がると、準社員となります」(岡元さん)

 その先に、正社員への道が待っている。子供が小さいうちはパート、ゆくゆくは…と、計画的に働いている人もいるという。互いの置かれている立場がわかるもの同士の職場なので、融通もきく。子供が病気になれば休めるし、誰かが産休・育休を取れば、周りがそれをカバーしようと力を発揮するのだ。

「42才の女性部長がいるんですが、彼女も最初はパートでした。それが正社員となり、部長になったのは2番目のお子さんを産んだ時。その後、3人目も出産しましたよ。もちろんパートでも育休は取れます。遠慮しなくてはいけないような雰囲気はありません」(岡元さん)

 だから、誰もが簡単には辞めないし、その職場を好きになって、目標を持って頑張ってみようという気持ちが生まれるのだ。

 実は、国も主婦を正社員にしようとする企業を後押ししている。安倍政権が成長戦略の一環として打ち出している「雇用制度改革」のひとつが、昨年5月に創設された「キャリアアップ助成金」。その中には、中小企業がいくつかの条件を満たしたうえでパートを正社員に登用すると、1人当たり40万円(大企業は30万円)を助成する制度が含まれている。

 そしてもうひとつ、やはり安倍政権の雇用制度改革として注目を集めているのが、正社員とパートの、ちょうど中間のような働き方だ。

 そのうちのひとつが「短時間正社員」。これはその名の通り、役割や責任、賃金体系や評価制度などは正社員と同じで、労働時間だけが短い正社員のことだ。1日8時間ではなく、6時間や4時間を、正社員として働ける。パートから短時間正社員へ。それならできるという人も多いはずだ。

 では、なぜ今、そうした多様な働き方を企業が求めるようになったのか。働きかた研究所代表の平田未緒さんが解説する。

「それは、世の中が主婦の働き手を求めているからです。若者が減り、新しい働き手が減っていく現代は、短い時間であっても、しっかりと働ける主婦は、大きな戦力。特に、高いコミュニケーション能力が問われる接客サービスの現場では、主婦の取り込みに懸命なんです」

 リクルートグループのジョブズリサーチセンター長の平賀充記さんは、主婦が持つスキルをこう評価する。

「ママたちは、家事・育児をこなしながら、『マルチタスクスキル』、つまり2つ以上を同時に処理する能力を磨いています」

※女性セブン2014年2月6日号

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