自分という存在を他人に認めてほしいが、ちっとも認めてもらえない。後輩に愚痴を聞いてもらおうとしても、忙しい現役世代からは敬遠される。その満たされない思いの代償を、スーパーの従業員に求めているのです。
いわば、現代的な「心の闇」です。「心の闇」が彼らを突き動かしているのです。彼らは現役バリバリの頃、忙しさに心を忘れ、心が貧しくなっているのです。だから闇に取り憑かれる。そしてちょっとしたきっかけで、「ホワイト・モンスター」と化してしまうのです。
私は彼らに同情します。老いさらばえれば、私もそうなっておかしくないと考えるからです。実際、このところ団塊世代のクレーマーが目立っています。現役時代は仕事人間で、リタイアした今も、激しい競争社会で身につけた交渉力を武器に相手を論破しようとするのですが、そのバイタリティとは裏腹に鬱屈した感情を抱え込んでいる人が少なくないのです。
※援川聡・著/『理不尽な人に克つ方法』(小学館新書)より