タレントの眞鍋かをり(33才)が世界ひとり旅を綴った『世界をひとりで歩いてみた 女30にして旅に目覚める』(祥伝社)を上梓した。本書ではパリやホーチミン、イスタンブール、ロサンゼルスなど、さまざまな都市への旅が紹介されている。眞鍋はこう語る。
「英語は学校以外で習った経験がないので、文法とかはめちゃくちゃだと思います。だから“英語へたくそですよ~”というオーラを前面に押し出しています。簡単な単語をゆっくり伝えるなど、たどたどしく話すんです。すると向こうも、へたくそな人仕様の英語で話してくれる。
あと、心細そうな日本人女性という演出もしてまして。おそるおそる“エクスキューズミー…”みたいに話すと、すごくやさしくしてくれる。“マッチ売りの少女作戦”って呼んでいるんですけど(笑い)」(眞鍋・以下「」内同)
著者は楽しそうにひとり旅を語る。時間をもてあましたり、一緒に行動する相手がいない不自由さや孤独を感じることも一切ない。
「誰かと行くよりとても濃い時間を過ごせます。2人や3人でいると、ただお店で飲んでいても、それだけで楽しいじゃないですか。でも、ひとりだとすぐにつまらなくなっちゃうので、“どうすれば楽しく過ごせるか”といつでも気分は前のめり。
たいていのパターンは現地のカフェで、この地を旅した人のブログなどをスマホで読み漁って、ピンときたら“よっしゃ! 次ここ”と立ち上がるんです」
つまり、スケジュールを事前に決めないのが眞鍋流。
「スケジュールを組むと、こなすのに手一杯になって余裕がなくなるというのがイヤなんです。また、旅の目的は2つに絞っています。
たとえばギリシャに行ったときは“ギリシャの象徴アクロポリス遺跡を見る”“伝統的なチーズ料理のサガナキを食べる”の2点。
目的が1つでは物足りないし、3つ以上だと余裕がない。でも2つ達成できれば、行った甲斐があったと満足できるし、スケジュール的にも気持ちにも余裕が持ててちょうどいいんです」
また、旅を続けていると自分が本当に興味のあるものが見えてくるという。
「“旅をするときのテーマ”というのかな。私の場合は“その土地ならではのチーズとお酒”と“歴史ある場所の散策”でしょうか」
そんなふうにひとり旅を続けているが、彼女自身に何か変化はあったのだろうか。
「以前は“自分探しの旅”って言葉が嫌いでした。旅行に行っても自分なんか見つからないよって。でも、ひとりで行く旅行は非日常でハードな環境。私も徐々に考え方が変わってきました。“○才になったらこれをやらなきゃいけない”といった固定観念に縛られなくなったんです。旅も人生も、誰かが決めたモデルコースが自分に合うかどうかわからないって。
また、こう見えて人にどう思われているのかが怖くて、人づき合いが苦手なほうだったんです。でも旅では誰かとかかわらざるを得ない状況がたくさんあって、そうもいってられない。そのうち人見知りの原因となっていた“変人と思われたら、嫌われたらどうしよう”といった気持ちがストンと抜け落ちました」
多くの国の人々と触れ合ううちに、世の中、いろいろな価値観の人がいて、それぞれに正解があることを知った。
「それまでは自分の価値観に他人をあてはめて、納得できない=嫌いという図式になっていたんですけど、自分が必ずしも正しいとは限らない。そんな考え方ができるようになって、スーッと解放されました。人生がラクになりましたね」
※女性セブン2014年2月20日号