菅、世耕両氏の事務所に問い合わせたところ、菅氏は内閣官房長官室を通じて「『勉強会』は設置された事実はなく、発着枠の配分等を決定した事実もありません」と回答。世耕氏は官房副長官室を通じて勉強会の存在を否定した上で、「JAL再生のプロセス等については会計、税務、法律等の専門家からご意見をうかがったことはありますが、いずれにせよ発着枠の配分等を決定した事実はありません」とした。
だが、勉強会の関係者は証言する。
「まさにそのJAL再生プロセスを検証する、という名目で専門家へのヒアリングが行なわれたのですが、その中身は発着枠に集中していた」
安倍官邸とANAの親密な関係は、一部でつとに知られた話だ。昨年9月、安倍首相がANA調査部長(執行役員)の石坂直人氏とゴルフをしていたことが明らかになっているが、
「経営トップならまだしも、一民間企業の一介の役員が首相とゴルフに興じるなんて異例中の異例。しかも『調査部長』という役職は、もっぱら政界、官界への働きかけをする渉外の実務者トップ。まさに発着枠の獲得を進める上での現場責任者。あまりにも生臭すぎる」(国交省幹部)
こうしたコネクションと発着枠でANAが圧勝したことに関連を疑う声が出たのも無理からぬことだった。
「『勉強会』での議論は単なるアリバイ工作で、最初から決まっていたという見方もあながち間違いではない」(前出の官邸中枢スタッフ)
羽田空港の発着枠は国民の共有財産だ。それが不透明なプロセスで民間企業に譲渡されていいはずがない。
発着枠のANAへの傾斜配分の発端は、JAL再建時に国が税金を投入したことにある。
「JALに大きく配慮したプロセスは裁量行政のそしりを免れない。しかし裁量行政の歪みをさらなる裁量行政で正そうとしたならば、必ず将来に禍根を残す」(経済官庁首脳)
※SAPIO2014年3月号