ピコピコハンマーを手に歌う町あかり
――子どもでもすぐ歌えるような親しみやすいメロディなのに、女性の嫉妬を歌っているんですね。
町:昔の古い歌が好きでよく聞くのですが、殿様キングスの「なみだの操」という40年前の大ヒット曲があります。好きな男性のために操を立てたのにフラれて、いまさら他の男性を好きになれないから、愛人でもよいから近くにいさせてほしい、別れるくらいなら死んだ方がマシという、内容はとんでもなく大人の歌です。
当然、子どもに意味はわかりません。でも、大ヒットして子どもからお年寄りまで誰でも知る歌となりました。当時は、特徴的な歌い方をまねてこぶしを回しながら『あなたぁ~のぉ~』と子どもが真似して歌っていたそうです。マンガ『ちびまる子ちゃん』でも、主人公のまるちゃんがよく真似をして歌っています。
すごく大人っぽい内容の歌を子どもがふざけて歌うなんて、当時の大人はとてもひやひやしたと思うんです。そういう歌が今もあったら面白いなと思って「もぐらたたきのような人」をつくりました。
――「もぐらたたきのような人」は初めてPVをつくられていますね。
町:アメリカの映像クリエイターでジェイソン・ホーさんという方がつくってくださいました。若い方なんですが、日本の昭和レトロなものが大好きだそうで、コレクションだという菊地桃子さんや松田聖子さんのレコードを見せてもらいました(笑)。私のことはお友だちに「きっと好みだよ」と教えてもらったそうです。
「コテンパン」と「もぐらたたきのような人」のどちらでPV制作するか迷ったそうですが、「もぐら~」でお願いしました。今は味わえない昭和のアイドル黄金時代を、町あかりの曲とパフォーマンスで体験できる。でも、誰かのまねではなく自分の個性を取り入れているところが面白いと言ってもらいました。このPVの再生回数なんですが、USENで曲が流れ始めた年末からすごく増えています。
――ピコピコハンマー以外に、何か新たなアイテムが増える可能性はありますか?
町:何かあれば、とは思っていますが、ライブ会場へは自分が運べるぶんしか持って行けないので、今のところ増える予定はありません(笑)。衣裳とピコピコハンマーだけで、かなり大きな荷物になるんですよ。
町あかり(まち あかり):1991年5月28日生まれ。東京都出身。高校在学中に曲作りを始め2010年8月新横浜Bell’sでライブ活動開始。2013年「MUSICるTV」(テレビ朝日)で前山田健一と綾小路翔に激賞され第1回もし売れ大賞受賞。今年3月に大学卒業&小学校教諭一種免許状取得予定。2月23日にEggman tokyo eastでワンマンライブ「町あかり被害者の会~頭から離れない」開催。好きな絵本は『こんとあき』(林明子、福音館書店)。