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中学生指摘の『走れメロス』の矛盾 評論家が更なる矛盾指摘

 まっさらな原稿の上に、ペン一本で新たな世界を次々と生み出してきた日本の文豪たち。一方で執筆に熱中するあまり、時には当初の設定を忘れたり、現実離れした数字を書き込んでしまったりと、致命的なミスを犯すことも。いざ冷静に読んでみると、日本文学にはツッコミどころが満載なのだ。
 
 太宰治の名作『走れメロス』。実際にメロスが“いかに頑張って走ったか”を検証した、愛知教育大附属岡崎中学の2年生、村田一真君のレポートが、話題を呼んでいる。この作品は、理数教育研究所主催のコンクールで最優秀賞に輝いたものだ。
 
 邪智暴虐の王の暗殺を企てて王城に侵入し、衛兵に捕らえられたメロスは、妹の結婚式に出席するために、親友セリヌンティウスを人質にして3日間の猶予をもらう。そして親友との約束を果たすために死力を尽くして走り続け、約束の3日後の日没の寸前に王城に戻ってくる──簡単にいうと、『走れメロス』はこんなストーリーなのだが、この話の矛盾を村田君は理知的に指摘する。
 
 村田君のレポートでは、《初夏満天の星の深夜出発》との記述から、メロスが深夜0時に出発したと仮定。《一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村に到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた》とあるので、夜通し走って午前10時に到着したものと仮定した。
 
 すると、メロスは村までの10里=約39キロの道のりを行くのに10時間かかり、平均時速は推定約3.9キロということになる。村田君は一般男性のフルマラソンの平均タイムが4時間30分で、平均時速が約9キロであることを引き合いに出し、《一般男性の歩行速度は4キロなのでメロスは往路は歩いたことがわかります》と結論づけた。いわれてみればなるほど、である。

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