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2014.03.06 16:00  女性セブン

故まど・みちおさん「恐れ多い」と美智子さまの肉声テープ返却

 童謡『ぞうさん』などで知られる詩人、まど・みちおさん(享年104)が、2月28日に老衰のため亡くなった。

 戦後、工場の守衛をしながら詩作を始めたまどさん。1951年、42才のときに書いた『ぞうさん』に、作曲家が曲をつけ、NHKラジオで流されると大ブームを巻き起こし、以来、日本を代表する詩人となった。

 1989年、そんなまどさんをJBBY(日本国際児童図書評議会)が、IBBY(国際児童図書評議会)が創設した「国際アンデルセン賞」に推薦することに。これは、児童文学の発展に寄与した作家や画家に贈る児童文学のノーベル賞ともいわれるものだ。

 そのため、まどさんの詩を英語に翻訳しなければならなくなった。そこで白羽の矢が立ったのが美智子さまだった。当時、美智子さまに翻訳のお願いをした元IBBY会長の島多代さんは、そのいきさつを『文藝春秋』(2013年7月号)で、こう綴っている。

《詩の翻訳は普通の翻訳者でも難しい。詩の心が分かる詩人でないと、まどさんの世界観が伝わる翻訳にならないのでは、と心配でした。そんなとき、ふと頭に浮かんだのが、皇后さまでした。当時の皇后さまは歌人として注目されていらっしゃいました。言葉一つに託される想いが非常に深く、すでに人々の記憶に残る歌を詠んでおられました》

 しばらくして彼女が美智子さまの元を訪ねると、そこには思いもかけない手作りの小冊子『THE ANIMALS』が完成していたという。

 見開きの左側のページには、まどさんの詩、右側には美智子さまの英訳が記されていた。このレイアウトは、美智子さまが「英語圏の人にも、もし少しでも日本語がわかれば、まどさんの詩そのものを読んでほしい」というお気持ちで考えられたものだった。後年、この『THE ANIMALS』の出版に携わった末盛千枝子さんが、こう述懐する。

「皇后さまは、詩人の思いをきちんと伝えたいと考えられ、まどさんに何度も連絡して質問されたそうです。例えば、『まめつぶ』という表現の場合、1粒なのか2粒以上なのか、などと細かくお聞きになったようです。やはり皇后さまも詩人ですから、言葉をおろそかにしないというお気持ちがあったのでしょう」

 しかも、美智子さまは翻訳した詩を自らの声でテープに録音され、それをまどさんに届けてはリズムを確認されていたという。まどさんの長男・石田京さんがこう話す。

「父は皇后さまとのご縁をひたすら“恐れ多い”と思っていたみたいで、録音テープが送られてきても、拝聴すると、すぐにお返ししていました。もしテープが残っていれば、わが家の宝物になっていましたね(笑い)」

 結局、このときは受賞を逃してしまうが、2度目の挑戦となった1994年には見事、日本人として初めて国際アンデルセン賞・作家賞を受賞するのだった。

「審査員の人は、私の詩より、皇后さまの英訳詩に感動したんだと思いますよ。だから皇后さまと一緒にいただいた賞なんですよ」

 生前、まどさんは女性セブンのインタビューで、こう謙虚に語り、感謝の意を述べていた。

※女性セブン2014年3月20日号

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