さらに、Aさんが口にした不安のように、震災に遭って建物が倒壊すれば、その家のローンの残債を払い続けながら、新築を建て直すために新たに借り入れを行う「二重ローン」の負担も重くのしかかることになる。
そこで震災時に住宅ローンの残高を免除してくれる商品もある。
三井住友銀行の「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」では、地震や噴火、津波で自宅が全壊した場合、住宅ローンの建物部分が半額免除となる。つまり、地震保険に加えてこの商品を利用することにより、建物部分のローン負担がほぼゼロになるというわけだ。
同商品の契約には建物ローン金利プラス0.5%の支払いが必要になる。超低金利時代において0.5%の上乗せはツラいと思う向きもあろうが、同行のホームページをみてみると、<たとえば1200万円を20年で借り入れた場合、追加負担額は月額約3000円>とある。月3000円で二重ローン問題が解消できると考えれば安いのかもしれない。
「火災保険とセットの地震保険だけでは足りない補償額を補う意味で、あらゆる選択肢を検討するのは必要なこと。たとえ毎月の負担が増えても、地震で家ばかりか家財道具など生活必需品が被害にあうリスクを考えれば、できる限り備えておきたいところです」(前出・大竹さん)
地震大国の不安は今後もつきまとう。首都直下型や南海トラフといった巨大地震の発生を予知する専門家も多い。せっかく手に入れたマイホーム生活を泣く泣く手放さないためにも、自然災害への備えは念入りにしておきたい。