ビジネス

「若者の保守化」は本当なのか 報道を疑問視する識者の考察

 とかく若者は乱暴に括られがちだが、印象と実態が異なることもまた少なくない。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が切り込む。

 * * *
 「若者」は「保守化」していると言われます。果たして、それは本当なのでしょうか? それは、悪いことなのでしょうか?

 4月21日、日本生産性本部が「2014年度 新入社員 春の意識調査」を発表しました。毎年、発表され、メディアでもよく紹介される調査ですね。

 最初に、今年の結果のポイントを簡単に説明しましょう。

・「将来への自分のキャリアプランを考える上では社内で出世するより自分で起業して独立したい」という質問に対し「そう思う」とする回答が11.8%で、2003年の設問開始以来過去最低の数値に。

・「海外勤務のチャンスがあれば応じたい」という設問に対し「そう思う」とする回答が50.1%で、2011年の設問開始以来過去最低の数値に。

・給与の決め方(給与体系)についての設問で「業績や能力よりも年齢、経験を重視して給与が上がるシステム」を希望する回答が5.8ポイント上昇、44.1%に。

・「条件のいい会社であればさっさと移る方が得だ」という設問に対し「そう思う」とする回答が30.9%で、10年ぶりに30%を超える数値に。

・「職場の人たちとの飲み会と友人との先約では、職場の飲み会に参加する」との回答が58.2%となり、昨年より6.1ポイント減。

 詳細は、日本生産性本部のホームページをご覧ください。

 毎年、このデータは、若者の「保守化」の象徴という文脈で紹介されます。この件で、私は4月28日(月)にNHKの「NEWS WEB」という番組に呼ばれてコメントしたのですが、番組の構成は、いかにも若者の保守化はいかがなものなのかというトーンでした。生放送だったのですが、思わず「この結果のどこが悪いのか?」「これを若者の保守化と言うのは違うのでは?」「起業・独立だけがチャレンジではない」と突っ込んだところ、番組のハッシュタグは白熱し、私の出演した10分間に約2,000件のツイートがありました。全部は読むことができませんでしたが、概ね好意的でした。Twitterのトレンドに私の名前が入るほどのツイート量でした。

 そう、私、この調査と取り上げられ方に、いつも疑問を持っていたのです。前述したように、この結果を「保守化」の論拠とするのは違うと思うのです。起業や独立を考えなければ、「保守化」なのでしょうか。独立、起業をする人の方がレアケースじゃないですか、どう考えたって。

 だいぶ求人は回復したものの、就活の負荷が増している時代です。やっと入社した会社にずっと勤めたいと、新入社員の段階で考えていることの、どこが悪いのでしょうか。

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン