常見陽平 就活の狼一覧

強烈会見の至学館・谷岡学長、大学イメージは就活に影響?
強烈会見の至学館・谷岡学長、大学イメージは就活に影響?
 五輪4連覇を果たした女子レスリング・伊調馨に対する栄和人日本レスリング協会強化本部長によるパワハラ疑惑だが、真相はまだ明らかになっていない。騒動の渦中、伊調がかつて所属し、栄氏がレスリング部監督を務める至学館大学の谷岡郁子学長が突然、インパクトの強い会見を行い、多くの人のド肝を抜いた。 今回の問題は、伊調に練習場所を使わせないようにした、というものだったが谷岡氏は「私が使わせると言えば、伊調馨さんはいつでも使うことができます。栄和人はその程度のパワーしかない人間なんです」と述べ、パワハラの存在を否定。さらには「そもそも伊調馨さんは選手なんですか?」や「栄監督のハゲを増すことはできません」などと述べ、2018年前半におけるインパクト大の会見となった。 この会見後、ネット上では至学館のイメージに影響するのでは? と心配するような声も多数書き込まれた。そして、大学のイメージがモロに自分自身に跳ね返ると心配されるのが学生の就職活動である。今回の谷岡氏の会見は現在就活中の至学館大学の学生にどんな影響を与えるのか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏の見立てはこうだ。「世間での『大学』のイメージには影響するかもしれませんが、採用には影響しないでしょう。せいぜい『あぁ、あの大学ね』ぐらいの話ですよ。その学生は悪くないわけですから。人事も色眼鏡でみる案件ではないでしょう。むしろ、『いま、うちの大学が世間を騒がせておりまして……』とつかみにはなるかと。 有名大学でも不祥事報道はあります。天下の早稲田だって、2014年にはSTAP細胞の小保方晴子さんとか、古くはスーパーフリー事件などもありました。あとは東大だって女性への暴行事件がありました。本人が直接関わっていれば話はかわりますが、就活には関係ありません。『学長があまりにもユニーク過ぎる』ぐらいなら人事は気にしないのではないでしょうか。あくまで、その学生の評価で決めます。ひとつひとつのスキャンダルよりも、いまその大学の教育内容などがどのような状況に置かれているのかは気になります」(常見氏、以下「」内同) どうやら、大学関係者がスキャンダルを起こしたり、あまりにも印象深い言動を取ったとしても採用担当者はそこまで気にはしないようだ。だが、就活における「大学のネームバリュー」については昨今変化があるという。元来の採用においては、旧帝大や早慶といった大学が強みを発揮してきたが、最近では採用担当者側から徐々に人気が上がってきた大学もあれば、特定大学の特定学部が存在するというのだ。「最近の採用活動において良い意味で話題になるのは大学単位では、立命館アジア太平洋大学と明治大学。特定大学の特定学部では、早稲田の国際教養学部、立教大学の経営学部などですね。今や早慶を辞退して、明治や立教へ行く人もいる時代です。この2つの学部はしっかり教えていると評価されており、企業の人事もこの点には注目しています。一部の学部に関しては、学内で『あいつらはエリートだよね』と呼ばれています。ここまで関東の大手中心の話をしていますが、地方にも優れた私学があります。金沢工大などは学生生活が充実していると評判です」◆早慶でも下位の学生にはキツい時代 昨今「学歴フィルター」の問題が再燃している。ネットでは、自分が実際に所属する大学名で企業説明会に応募したところ、「満席」の文字が出たのだが、上位校と偽ったIDで応募したら説明会にエントリーできたという報告があったのだ。このことは確かに学歴フィルターが存在することの証拠といえるが、以前ほどではないという。そのキーワードが「ターゲット校」だ。企業の人事は採用活動開始前にどの大学から何人取りたいか、といった設定をするが、杓子定規に高偏差値大学から採ろうという状況にはなっていないという。「企業のターゲット校設定は変化しています。リーマン・ショック後は6割の企業がターゲット校を決めていましたが、現状、決めている企業は4割ほどになっています。売り手市場だから企業としては贅沢を言っていられないというのもありますが 大学のラベルだけでなく、レベルを見る動きになっています。 以前は『早稲田から○人取ったぞ! 慶応からも×人取ったぞ!』と自慢する経営者や人事がいました。でも、早稲田って1学年に1万1000人いるわけで、色々な人がいるわけですよ。○○大学だから採るという以前に、幅広い大学から取ろうという流れになっています。早稲田や慶応の下の方の学生を取るよりは様々な大学のトップ層を採った方がいいのでは、ということですね」 ということは、いわゆる「上位校」でない学生であろうとも、自身が通う大学でトップクラスの優秀さを維持し続ければ就職活動でも高く評価されるということだろう。
2018.04.05 07:00
NEWSポストセブン
就活生 「エレオク」に浮かれて本音が出ると痛い目に遭う
就活生 「エレオク」に浮かれて本音が出ると痛い目に遭う
 今年度の企業の採用活動は活発という。そのなかで「エレオク」という言葉も生まれた。どう意味か。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が解説する。 * * * 就活生の間で「エレオク」という言葉が流行り始めています。面接などのあとに、エレベーターまで送ってもらう行為のことです。これは売り手市場化の影響とも言えますし、学生を判断する材料を少しでも手に入れたい企業の意地らしい努力とも言えます。 まず現在の大学3年生を対象とした2017年度の就活の見通しについてご紹介します。2017年度は3月に会社説明会など採用広報活動が始まり、6月に面接などの選考が開始されます。今年も就活時期が見直され混乱の可能性は高く、すでにフライングやスレスレの行為をしている企業も見かけます。ただ、求人数に関しては昨年度に続き、売り手市場になりそうです。 リクルートワークス研究所が2015年12月17日に発表した「ワークス採用見通し調査(新卒:2017年)」によると、民間企業の2017年卒の大学生・大学院生新卒採用の見通しは「増える」が13.4%、「減る」が4.2%と、「増える」が「減る」を9.2ポイント上回っておりました。売り手市場化が顕著となった2016年卒の「増える」と「減る」の差は8.7ポイントでした。採用意欲の高まりが感じられます。 このような売り手市場の局面では、企業は学生に選んでもらうためにあの手この手の努力をします。豪華なホテルで会社説明会をする、選考通過のたびにメールではなく電話で結果を伝えラブコールを送る、豪華な内定者懇親会や内定者拘束旅行を用意するなどです。「エレオク」もその手法の一つです。学生に対して、ちゃんと丁寧に接している、一人の大人として扱っているというアピールです。有名企業の人事がわざわざエレベーターまで送ってくれるのですから、学生は感激し、その企業への印象がよくなるわけです。 もっとも、この「エレオク」ですが学生は「特別扱いしてくれた」と浮かれていてはいけません。企業はこの時の態度ややり取りも判断材料にするのですよね。面接室の中だけを選考だと思って気が緩んでいる学生はここでやられるのですね。ついつい本音が出たり、マナーの問題が出たりするわけです。 ここでの立ち話で人事の若手に質問をする学生がいるわけですが、あまりにその内容がナメたものだったり、業界・企業の研究不足、本気度が足りないことなどが露呈してしまうと逆効果なわけです。学生はエレオクの際の会話も判断基準になっていると思ってください。 もっとも、このエレオク、企業としてもリスクがあるのです。エレオクしている最中に、社内の様子や社員の会話などによって、会社の評判を下げてしまう可能性があるからです。また、エレオクはやればいいというわけではなく、社員のことがよく見られてしまうわけで、他社の人材と比較されてしまうのです。 というわけで、就活は意地らしい努力の繰り返しなのです。学生も企業も。2011年から続いていたこの連載も今回で終了です。連載は終わりますが、新卒採用という未来をつくる素晴らしい行為と、行為としての就活の茶番も今後もウォッチし続けたいと思います。ご愛読ありがとうございました。
2016.01.10 16:00
NEWSポストセブン
就活見直し 時期の変更より「履修履歴の活用」に着目すべき
就活見直し 時期の変更より「履修履歴の活用」に着目すべき
 就活時期が来年度から見直しされることになった。2年連続の変更であり、そのことに対するメディアの批判もある。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏はどう捉えたか。 * * * 12月7日、経団連は「採用選考に関する指針」の改定を発表しました。来年度、2017年度より新卒採用の採用選考解禁時期が現状の8月から6月に前倒しになります。2016年度に大幅な繰り下げが行われた後、2年連続で見直しが行われました。各メディアは時期をめぐる迷走だとか、実効性への疑問などを書き立てていますが、論点はそこでしょうか? より押さえておくべき論点を提示したいと思います。 まず、経団連は「迷走」しているわけではありません。粛々と時期を再修正しています。これは既定路線とも言えるものだと私は見ています。もともと、経団連は就活時期繰り下げについて反対の姿勢を表明していました。中堅・中小企業に対する配慮などからです。2017年度に押し切ったのはやや意外でしたが、ここには強い意志を感じます。この問題に対する経団連の榊原会長の情報発信は、会見の要約を読む限りでは実に誠実だったといえます。報道によっては、ややねじ曲げられていましたが。 今回、経団連加盟企業にもフライングがなかったわけではありません。ただ、正式な内々定の通知は選考解禁の8月1日以降だったことにより、中堅・中小企業が大手企業に内定者をひっくり返されるという事態となりました。この件も、就活時期の再変更の論拠となったといえるでしょう。 なお、今回の時期変更においても法的拘束力がないことやフライングが相次ぐのではないかと懸念されています。あるかないかでいうと、あるでしょう。それは歴史が証明しています。ただ、このようないわゆる「青田買い」の行為を行ったところで「買える」会社と「買えない」会社の差が顕著になっていることも2016年度採用という大いなる実験によって証明されたのではないでしょうか。 採用を決定付けるのは企業力と採用力の掛け算による面積だと思っています。企業力が上手く伝わっていない企業は採れないし、リーマン・ショック後に続いていた買い手市場の時代にあぐらをかき採用力を磨かなかった企業はやはり採れないわけです。いや、リーマン・ショック後も採用活動は決して楽ではなかったのですけどね。そして、罰則規定はないものの、このような「申し合わせ」があることにより、フライングするにしてもその目安がわかるというものなのですよね。 ここからが本題で、今回の経団連の「採用選考に関する指針」ですが、時期に関する項目以外の部分が重要です。同時に発表された『「採用選考に関する指針」の手引き』においては、選考活動における留意点として、選考を授業やゼミ、実験、教育実習などの時間と重ならないような設定とすることや、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用なども含めた工夫を行うことなどがあげられています。 また、大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましい、と表記されています。もちろん、これは罰則があるわけではなく、語尾をみるとわかるように努力目標のようなものになっているわけですが、少なくとも姿勢としては学業に対する配慮の色が強くなっているといえます。 もっとも、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用を推進すると言いつつ、これを厳格に運用しようとすると、採用担当者の仕事がブラック化するのではないかという懸念もありますが。まあ、採用担当者は体力勝負で、選考期間は連勤状態になり過酷なのですけどね。 特に大学等の履修履歴を活用する選考は、単に学業重視というわけではなく、この方が「やらざるを得ないこと」に対する行動特性がわかるのですよね。アルバイトのことを劇的に語られるよりマシだということで。 今後も時期に関する議論は続くと思いますが、時期だけではなく、このような学業をいかに尊重するか、出会い方をどう変えるかという議論が今後盛り上がることを期待しております。
2015.12.13 16:00
NEWSポストセブン
就活シーズン見直し論議「損したのは政府や経済団体」と識者 
就活シーズン見直し論議「損したのは政府や経済団体」と識者 
 今年度実施された就職活動の時期について、早くも見直し論が出ている。就活議論で損をしたのは誰なのか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が解説する。 * * * 就活時期の再度見直し論が盛り上がっています。この件で、いったい誰が得をし、誰が損をするのでしょうか? 2016年度、現在の大学4年生の代から就活時期の繰り下げが行われ、結果として混乱したことを受けて、経団連の榊原会長は、9月7日の会見で「見直しもあり得る」ことを示唆しました。そして、ついに10月27日の会見で2017年春入学の大学生について、選考開始を今年度の8月から前倒しにすることを表明しました。会見の中では6月解禁にするのも選択肢の一つであるとし、前倒しの可能性が極めて高くなりました。 また、同日、加藤1億総活躍担当相は、2016年度の就活時期繰り下げについて、実態を検証するための経済界や大学を含めた実務者会合を11月4日に開くと発表しました。就活時期の再度見直しが急ピッチで進んでいます。 何度もこのコラムでも紹介してきましたが、今一度整理してみましょう。 2016年度の就活時期は、1.就活時期の繰り下げ(採用広報活動開始が大学3年の12月から3月に、採用選考活動開始が大学4年の4月から8月に)が行われた 2.ゆえに、採用広報活動期間が4ヶ月から5ヶ月に1ヶ月増えた 3.同様に選考開始から卒業までの期間は12ヶ月から7ヶ月に短縮された ということになります。あくまで、このルールどおりに行われた場合ということですね。 実際は、中堅・中小企業を中心に早期に内定を出す企業が続出したこと、大手は早期にアプローチしつつも内定出しは8月1日以降にしたこと、実質選考期間が1ヶ月増えてしまったことなどにより、ルールは守られない上、混乱し、さらには実質、就活終了までが長期化してしまったことが問題となりました。内定者を根こそぎひっくり返された企業も現れたわけですね。 このような、混乱が起こったことから、早期に対応しようとする動きは評価できるともいえますが、いったん就活時期繰下げの大義名分はどこにいってしまったのかというのが、いまさら意地悪なようですが率直な感想です。 この件によって、損するのは誰でしょうか? 私は政府や経済団体だと思っています。彼らの信頼度が、激しく落ちるのではないか、と。そして、今後、この手の見直し論があっても、もう相手にされないのではないかと。 就活時期に関してはどの時代においても(今年ほど大胆にルールが破られた年は珍しいものの)、何らかのフライングはあるわけです。学生も企業も、「◯◯業界はもうリクルーター面談が始まったぞ」「◯◯社は、上位校を中心に内定を出しはじめる時期だぞ」などという、水面下の情報をもとに駆け引きするものです。そして、全体のスケジュールが、ある程度のガイドラインになり、それに従って(ルールを守らないにしろ、参考にしつつ)動くわけです。 いま、企業や就職情報会社で行われている動きはといえば、6月スタートになった場合の施策のチューニングです。媒体の活用法、説明会や選考の開始時期や方法を見直すわけです。もっとも、見直しもあり得る件は昨年から噂はされておりましたし、6月スタート説は今年の夏くらいからやはりまことしやかに囁かれていました。 経団連が就活時期繰下げに関する政府からの要請を受け入れたのも「一度、受け入れてあげた、実験させてあげた」という見方もできるわけです。経団連は、この件を検討した若者・女性活躍フォーラムでも、繰り下げに反対していましたからね。 学生や大学教職員も、思うところはあっても、従わざるを得ません。時期がいつだとしても、日本の慣行においては、学生にとってはほぼ初体験となるわけです。だから、時期がいつだったとしても、混乱はします。もっとも、今回の場合は、先輩の話がまたしても参考にならなくなるわけですが。 現状から考えると、今回、もし前倒しになった場合、改善と言える部分もあります。夏までひっぱる長期化は避けられるわけですし、コンパクトになるとも言えます。 もっとも、さらに前倒しにし、紹介・斡旋などの強化といった施策を行うことにして、「早く内定が出て、学生生活に集中できる」という世界観を作ることも一つの手だと私は見ています。 再度見直しし、前倒しにする場合、企業は今年よりはマシだと考え、学生は従わざる得ないわけで、なし崩し的に結果オーライだったことにもなりえます。 ただ、この場合に面目丸つぶれなのは、実は政府や経済団体ではないかと思います。経済団体首脳にしろ、それこそ首相や関係各省の大臣にしろ、丁寧な説明をしないと、信頼を失うことでしょう。なぜ、学生や企業を混乱させたのか、と。学習機会確保、留学促進という大義名分はどこに行ったのか、と。まあ、この件はもともとこれらの目的と、就活時期繰下げという手段がずれていたのですけどね。 今後、どのような発表があるか、注目しましょう。スケジュールの是非だけでなく、説明内容こそ問われる件なのです。
2015.11.01 16:00
NEWSポストセブン
若者に留学勧めてもお金がないから難しいという現実について
若者に留学勧めてもお金がないから難しいという現実について
 日本の大学生の「内向き」志向が取り沙汰される。新就活協定も、「留学推進」がひとつの目的だった。本当にだろうか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が解説する。 * * * 就活時期の件、また揺れています。現在の大学4年生、2016年度の新卒入社より就活時期が変更になり、採用広報活動が大学3年生の終盤の3月、選考活動が大学4年生の8月に変更になりました。しかし、企業側のフライングが横行した上、学生も疑心暗鬼になり混乱したのはご存知の通りです。混乱したこともあり、経団連の榊原会長は調査を進めるとともに、見直しも有り得ることを示唆しました。 私はもともと、この件が確定した2013年4月から上手くいかない可能性が高いことを指摘しておりました。実際、そのとおりになりました。問題が起こったことに対して、早期に対応しようとする姿勢は評価できます、一般的には。 しかし、この件に対してひっかかる部分があります。もともと、この就活時期繰り下げの大義名分は、「学ぶ機会の確保」と「留学の推進」だったはずです。今さら意地悪なことを言いますが、この件についてちゃんと害がないことを証明しないと、見直しをしてはいけないと思うのですよね。留学するために、海外に旅立ってしまった学生はどうするのでしょう。現状に問題意識を持つことはまったく否定しませんが、無責任だなとも思います。 前置きが長くなりましたが、今回は留学について論じます。就活時期繰り下げの目的の一つだった「留学の推進」ですが、私に言わせるとこれは「無理ゲー」だったと思うのですよ。というのも、学生が留学しない原因は就活のせいではないためです。もっと言うならば、よく言われる内向き志向とも違うと思うのです。 若者の留学を阻害する要因は何か? ずばり、お金の事情が大きいです。『家なき子』の安達祐実の名セリフ風に言うならば「同情するなら金をくれ」というわけです。 全国大学生協協同組合連合会が2014年秋に調べた「第50回学生生活実態調査」のデータを参照してみます。「海外留学への意識」に関する回答をみると、大学入学後に留学経験が「ある」学生は9.1%にとどまります。入学後留学経験のない89.1%の内訳をみると、「在学中にしない」が66.3%となっています内訳は「留学したいができない」30.9%、「留学したいと思わない」35.4%となっています。「留学したいと思わない」の理由は「留学に興味がない」20.8%が最も多く、「語学力に自信がない」13.7%、「経済的な理由」11.0%、「海外生活が不安」9.4%となっています。「留学したいができない」の理由をみると、「経済的な理由」が18.2%、「時間の余裕がない」13.3%、「語学力に自信がない」11.9%となっています。なかでも「経済的な理由」は「留学したいができない」学生を100とすると、58.9%と高い割合となっています。 就活を理由とする設問はないものの、お金の問題が大きいことは明らかです。そもそも、18歳人口の約半数が大学に行く時代です。高卒の求人の減少、産業構造の変化、社会全体の高学歴化という流れからいうと、大学に行かざるを得ない時代ともいえます。そんな中、経済的に豊かではない学生が増えていることは明らかです。だから、就活を繰り下げすれば、留学が増えるという見立て自体が間違っていたのではないかとすら思うわけです。 この、就活時期の繰り下げの目的である「学ぶ機会の確保」と「留学の推進」というのは、個人的には「パンドラの箱」を開けてしまったように思うのです。これを阻害している原因は、「就活だけ」とは言い切れないわけで。そこで、もともと大学に行けるだけの学力と経済力がない層を大学生にしてしまっているという現在の大学の根本的な問題が可視化されるからです。 これを就活に責任転嫁し、就活時期を繰り下げすると何かが解決されるかもしれないと考えた人たちは、実は現実を見ていなかったわけで、やや過激に言わせてもらうと、大学生のことなど何も考えていなかったのではないかとすら考えるわけです。 なお、「留学の推進」という大義名分に関してですが、ここに関して言うならば、いつ留学してもらうのがベストなのかという視点が抜け落ちています。千葉商科大学国際教養学部という、グローバル人材育成系の新設学部で教員をやっていますが、本学のこの学部においては留学がマストなのですね。学部を立ち上げる際に、議論を重ねたうえで至った結論は、留学してもらう時期は大学2年の秋がベストではないかということでした。 就活にかぶらないという理由もありますが、それ以上に、この時期に留学して刺激を受けると、自分が学ぶべきテーマなどのヒントにもなりますし、語学力についても危機感がわくからなのですね。帰国してから学ぶテーマがより明確になります。さらに、任意でもう1回留学することだって可能になるわけです。 一貫して批判していることですが、就活に関する議論は、タテマエの連鎖にすぎず、現実を見ていない話になるのか、と。ポーズだけの議論に意味はありません。この問題については、どの立場の人も「ぶっちゃけ話」をすることこそが解決策につながるのではないかとすら思うわけです。はい。
2015.10.04 16:00
NEWSポストセブン
就活時期繰り下げ あえて「やって良かった点」を考えてみた
就活時期繰り下げ あえて「やって良かった点」を考えてみた
 2016年度の就職活動から、就活時期の繰り下げが行われた。ルールを遵守していない企業や「オワハラ」など問題も指摘されているが、ダメなことばかりなのだろうか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が、就活時期が繰り下げられてあえて「良かった点」を考える。 * * * 2016年度採用はなんと言っても「就活時期繰り下げ」が話題です。新聞各社は、特集を組み検証を行っています。中でも、日本経済新聞は8月24日から5回にわたり2面の「迫真」というコラムでこの問題を追いました。 日経の他にも新聞各紙は学生も企業も混乱したこと、ルールに法的拘束力がなく実際は前倒しで内定(に近い打診を含む)が出ていたこと、インターンシップが就活の一部と化している上に8月1日の選考解禁まで内定が出ないが故にむしろ一部の学生にとっては長期化したこと、「オワハラ(就活終わらせろハラスメント)が横行したこと、内定者にほとんど逃げられてしまった企業があったことなどを伝えています。「なんのための就活時期繰り下げだったのか」という論調です。 私もそう思いますが、この取り上げ方もまた「紋切型」だと考えます。そもそも、就活の時期の早期化・長期化について問題提起をしていたのは新聞各紙です。いや、この件については私も問題提起していました(もっとも、就活時期繰り下げだけでは問題は解決されていないことにもふれていましたが)。単に「それ見たことか」という振り返りはナンセンスだと思います。これは実験だと捉えたいのです。そのため、今回は「就活時期繰り下げ」の「功罪」について、「功」の部分を振り返ってみたいと思います。「就活時期繰り下げ」がもたらした「功」の部分は、次の点だと思います。1.採用手法の多様化が促された2.学生の間でワークルールに関する意識が高まった3.時期に関するルールは破られることが証明された この3点です。順に説明します。1.採用手法の多様化が促された 「就活時期」の繰り下げにより、採用広報活動が大学3年生の3月(2015年度までは12月)に、選考活動が大学4年生の8月に(同4月)繰り下げになりました。 報道の通り、申し合わせを破り早く内定を出す企業は存在しました。ただ、経団連に所属しているクラスの大手企業においては学生に採用する意向を示したりはするものの、正式に内定を出すのは8月1日以降という企業が目立ちました。その間、学生を囲い込まなくてはなりません。そのために、リクルーターなどによる接触、囲い込みが行われました。学生にとっては、何度も呼び出されて迷惑ではあります。ただ、企業と学生の肌合わせが行われ、疑問の解消や、その企業の組織風土とマッチするかどうかを確認することができたのもまた事実です。 他にも流行ったのは「面談会」です。「面接」という言い方ができないので「面談」と呼ぶわけですが、これは選考を兼ねたものもあれば、文字通りざっくばらんに交流する面談会も存在し、やはり肌合わせを行うことができました。 また、学内での企業説明会、OB・OGとの交流会など、大学の中に入り込んだ企画が流行ったのも今年の特徴です。 結果として、就職ナビに過度に依存した就活から、学生と社員が肌合わせを行い、確かめ合う採用に回帰したうえ、ずるいやり方も含め創意工夫が行われたのもまた事実です。もちろん、前述したようにこれは学生にとって負荷のかかるもの、不透明なものではありましたが。2.学生にワークルールの意識が醸成された ワークルールとは、労働法など仕事に関わるルールのことです。近年、ブラック企業問題が話題となり、それから身を守るために注目されました。 今回の就活時期の繰り下げは「オワハラ」問題が誘発されました。他社を受けないように脅したり、妨害する行為です。文科省が7月に行い発表した調査では、約7割の学校において、学生からオワハラの相談があったことが明らかになりました。 これが盛んに報道されたことにより、対抗するべく職業選択の自由を主張すること、上手くやりくりすることがむしろ推進されたと私は見ています。みんなが泣き寝入りしたわけではありません。 「オワハラ」問題は、犯人探し、レッテル貼りがやや過剰に行われたとも言えますが、学生の間にワークルールに関する意識が高まるという点には貢献したといえるでしょう。3.時期に関するルールは破られることが証明された 実はこれも、大きな「功」だといえるのではないでしょうか。日本の就活の歴史は時期論争の歴史です。1920年代から就活時期は何度も議論され、見直され、しかしルールは破られてきました。今回もそうなったことは明らかです。 だから「それ見たことか」と言うつもりはありませんし、「法的拘束力を持たせる」という方向にするのも違うと思います。大学で一生懸命学んでもらい、成長しきった後で採用するのが正しいと、タテマエでは言われつつも、結局、企業は学生の素質、可能性にかけているのであって、結局、他社よりも早く動こうとするわけです。ただ、だからといって他社よりずっと早く動いても、ひっくり返される可能性があることも再確認されたといえるでしょう。 今後も時期論争は続くでしょうが、時期「だけ」の論争は無意味で、今後は出会い方、選び方をどうするかという議論が盛り上がることを期待しています。 というわけで、長年、就活の早期化・長期化を問題視していたマスコミが、いざ就活時期を変更すると、「それみたことか」と論じることにも、違和感を覚えるわけです。私も就活時期繰り下げの問題は、この連載でずっと指摘してきましたが、「それみたことか」というのではなく、もたらされた変化もまた直視すべきだと思うわけです。 2016年度就活・採用戦線を終えた学生と企業の皆さんは歴史の証人です。何が起こったのかをできるだけ具体的に伝えるとともに、タテマエの議論ではなく、本音の議論を始めませんか。
2015.09.06 16:00
NEWSポストセブン
就活売り手市場化で内定バブルの様相も喜ぶのは早計という話
就活売り手市場化で内定バブルの様相も喜ぶのは早計という話
 就活はバブル期のような「売り手市場」だという。だが学生や保護者が喜ぶのは甘い。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が警鐘を鳴らす。 * * * 2016年4月入社の大卒者の採用活動が盛り上がりを見せています。今年の就活の話題と言えば、なんと言っても「就活時期の繰り下げ(採用広報活動開始が大学3年生の12月→4年生になる前の3月に、採用選考活動が4年生の4月→8月に繰り下げ)」と「オワハラ(就活終わらせろハラスメント)」ですが、「売り手市場化」も忘れてはいけません。 学生にとっては景気の良い話のようですが、この局面で入社し、社会に出るというのは実は慎重に考えないといけないことがいくつかあります。売り手市場の罠について考えてみましょう。 まずはデータを見てみましょう。リクルートワークス研究所が4月に発表している「大卒求人倍率調査」では、求人倍率は1.73倍であり、前年の1.61倍より+0.12ポイント上昇しています。全国の民間企業の求人総数は、前年の68.3万人から71.9万人へと3.6万人増加しています。学生の民間企業就職希望者は、前年の42.3万人とほぼ同じ41.7万人でした。2011年卒から2014年卒までの4年間は1.2倍台で推移していましたから、回復傾向だと言えます。 もっとも、この1.73倍という売り手市場と言って間違いない数字ですが、新卒採用の現場と日々向き合っている採用担当者、大学教職員、就職情報会社関係者は「実態は違うのでは?」とクビを傾げるかもしれません。そう、このデータはあくまで春に行った調査を元にした予測値であり、就活・採用戦線がスタートしたあとは上方にも下方にもブレる可能性があるのです。 2016年度新卒採用で言うならば、就活時期繰り下げが行われたのですが、最初から予想されていたように、「選考開始は8月」だというタテマエのスケジュールどおりにはなりませんでした。新卒向け就職ナビサイト「リクナビ」を運営する株式会社リクルートキャリアの研究機関・就職みらい研究所が発表した「2015年7月度 就職内定状況(2016年卒)」【確報版】によると、5月1日の時点で20.7%、6月1日の時点で34.5%、7月1日の時点で49.6%となっていました。 ただ、経団連企業など大手企業は8月1日の選考解禁を遵守の姿勢を見せておりました(実際には、内定を暗示させて囲い込み、この日に出したりはしているのですが)。あとで他社に取られる、内定辞退のリスクを考えて内定を多めに出している企業も散見されます。 そのため、6月、7月時点で4〜6社の内定を持っている学生と今年はよく遭遇しました。このような学生はこれらの内定を「キープ」「保険」というように呼び、「就活休み(これも今年、頻出したキーワードです)」を経て、「本命」の選考に備えるのです。 このように、内定出しの状況は元々の採用計画よりも上振れ、膨張している印象があります。バブルと言っても良い印象です。もっとも、内定を連発しているのは、必ずしも人気のある企業ではないのですが。 リーマン・ショック以降「就職氷河期再来」という言葉がメディアでよく話題になっていただけに、学生やその保護者にとっては嬉しい話のように聞こえることでしょう。 でも、ちょっと待ってください。このような「売り手市場」「バブル」の局面は、必ずしも学生にとって嬉しいものではないのですよ。 景気は循環します(このあたりを詳しく語りだすと長くなるのですが、ここではざっくり、こう言います)。採用時にいい想いをしても、その後、悪くなる時がやってくるわけです。入社して、仕事に慣れてきた頃に景気が悪くなり、仕事をする環境が辛くなる上に、会社が合わなくて転職したいと思ったら中途採用の求人が少ないということが起こり得るわけです。 人材紹介会社経由で転職しようとする場合、キャリアカウンセラーは「売り手市場で世に出た人は、考えが甘い」と敬遠する場合もあります。そう、彼らの経験則でありますが、この時期に社会に出た人は考えが甘い、能力が怪しいということもよくあるとのこと。 また、この局面は就活も採用活動も雑になることがあるのですね。前出のリクルートキャリアのデータを詳しく読むと、採用広報活動開始から4カ月目時点の比較をすると、ここでの就職内定率は2014年卒4.5%、2015年卒5.5%、2016年卒34.5%となっていて、今年度は突出して高いわけです。 就活を始めたばかりの学生にこれだけ内定が出ている年はこの10年くらいでは無いと言っていいでしょう。最終的に行く1社は後で内定が出た会社だとしても、業界・企業研究不足のまま、考えも固まらないまま内定が出ているという可能性は否定できません。 さらに、この局面は、求人広告をつくる就職情報会社も雑になっている可能性があるのです。このような局面においては、就職情報会社自体が新卒採用・中途採用を強化し、営業担当者を増やします。人材ビジネスに慣れていない、新米の営業担当者が顧客に営業し、求人広告作りに関わるわけです。いくらその上の管理職などが品質を担保しようとしても、雑になる可能性はあるわけです。 逆に、求人環境が悪い時期に社会に出た人は、考えが大人になっている、社会の厳しさを知っている、その後、景気が良くなる(ことが期待される)ので仕事がやりやすくなる、転職もしやすくなるなどのメリットがあるのですね。就活中は、本人はそんなことを考える余裕がないとは思いますが。また、厳しい時期に社会に出た層から社長が出ていたりするのですよね。 というわけで、内定がいくら出たところで、こういう時期こそ浮かれてはいけないのです。もちろん、売り手市場か買い手市場かを学生は決めることができません(まあ、大学院進学、留学などで社会に出る時期を遅らせることは可能ではありますが)。入社する1社を決める前に、今一度、業界・企業研究をしておきましょう。 業界内でのポジションを再確認する、5カ年計画を比較する、社風が合ってそうかを考える、一生勤めても数年でやめるにしてもそこで働いて得られるものを考える、この人たちと働きたいと思うかどうかなど、諸々考えましょう。 売り手市場も楽ではないというお話でした。
2015.08.13 16:00
NEWSポストセブン
内容充実のガンダム展図録
六本木のガンダム展 「昭和と平成の変化を味わえる」と識者
 今秋、「機動戦士ガンダム」の新シリーズが始まる。それに先だって、東京・六本木では展覧会も開かれている。ガンダム世界に傾倒する千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が熱く語る。 * * * 2015年は、ガンダム好きにとっては、たまらない年です。ガンプラ(R)35周年です。東京の六本木ヒルズにある森アーツセンターギャラリーでは「機動戦士ガンダム展」THE ART OF GUNDAMが開催されています。さらに、この秋、シリーズ最新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』がスタートします。 言うまでもなく、節目の年ですが、今年からガンダムのさらなる快進撃が始まるのではないか、と。先日、「機動戦士ガンダム展」THE ART OF GUNDAMに参加し、私はそう確信しました。というわけで、このイベントをレポートしつつ、また最新作の見どころをお伝えしつつ、その意義について考えてみたいと思います。 最初に言っておきます。私は、ガンダムが大好きな人材です。幼い頃から何度も、何度も観ました。『僕たちはガンダムのジムである』(ヴィレッジブックス)という本も出しました。この本がご縁で、『機動戦士ガンダム』の監督である富野由悠季氏、『機動戦士ガンダムUC』の作者である福井晴敏氏と鼎談したこともあります。今回のガンダム展の図録にも、私のインタビューが掲載されていますよ。 そんな関係もあり、「機動戦士ガンダム展」THE ART OF GUNDAMが始まる前日に、関係者内覧会に参加することができたのですが……。いやあ、泣きました。何度も泣きました。絶対に行った方がいいですよ、これ。できるだけネタバレしないように、レポートしますね。 まず、名セリフが散りばめられた壁にやられます。さらに、上映室でオープニングムービーが。これがまた、ド迫力で感涙です。その部屋を出たあとは、『機動戦士ガンダム』が生まれるまでの貴重な資料、台本、富野由悠季氏の作業机を再現したコーナー、キャラクターやモビルスーツのデザインが並びます。純金や純銀で出来たガンダム、さらには実物大のガンダムの頭部が展示されており、圧巻です。 展示室を出た場所にある、物販コーナーは散財注意です。ここだけでしか買えない記念ガンプラもそうですが、名シーンを取り上げた絵葉書、メモ帳などの文房具もいちいちかっこいいです。ビームサーベルポッキーなんていうものもありますよ。出口にはトヨタ自動車とコラボしたシャア専用オーリスの展示も。ご覧のとおり、ガンダム三昧なのです、本当に。 と、かなり端折った説明でしたが、『機動戦士ガンダム』を世に出すための関係者たちの想い、そして積み重ねてきた歴史を感じることのできる展示でした。 この展示を見た上で、最新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の紹介ムービーなどを見ると、ガンダムというものがいまだにチャレンジを繰り返し、進化していることを感じます。 公式HPによると、あらすじは次のようになっています。 かつて「厄祭戦」と呼ばれる大きな戦争があった。その戦争が終結してから、約300年。 地球圏はそれまでの統治機構を失い、新しい支配体系をもって新たな世界が構築されていた。仮初めの平和が訪れる一方で、地球から離れた火星圏では、新たな戦いの火種が生まれつつあった。 主人公の少年、三日月・オーガスが所属する民間警備会社「クリュセ・ガード・セキュリティ」(以下:CGS)は、地球の一勢力の統治下にある火星都市クリュセを独立させようとする少女、「クーデリア・藍那(あいな)・バーンスタイン」の護衛任務を受ける。しかし、反乱の芽を摘み取ろうとする武力組織「ギャラルホルン」の襲撃を受けたCGSは、三日月ら子供たちを囮にして撤退を始めてしまう。 少年達のリーダー、「オルガ・イツカ」はこれを機に自分たちを虐げてきた大人たちに反旗を翻してクーデターを決意。オルガに「ギャラルホルン」の撃退を託された三日月は、CGSの動力炉として使用されていた「厄祭戦」時代のモビルスーツ、「ガンダム・バルバトス」を用いて戦いに挑む。(以上、公式HPより引用) どうです? かなり攻めている、今までとはまったく違う設定でしょう? 7月15日に行われた発表会は、世界に向けてネット中継されました。今回の作品は主人公の少年たちの絆や挫折、成長など人間ドラマに焦点を絞り、少年たちの物語としての魅力と、それに伴って変化を遂げていく「ガンダム」の姿を描くとのこと。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などで知られる監督の長井龍雪氏を始め、新進気鋭の豪華スタッフが作品を作り上げます。MBS・TBS系列全国28局ネットで10月4日(日)17:00より放送開始です。 この設定、さらには告知映像を見て、まさに新時代のガンダムだと確信した次第です。そして、ガンダムシリーズは作品の位置づけが見事に整理されたように思います。ガンダムシリーズは、最初の作品である『機動戦士ガンダム』と同じ宇宙世紀の設定でなんらかのつながりがあるものと、そうではないものに、大きく二つに分けられると思います。 ただ、後者のつながりのないものに関しても、旧来のガンダムファンの期待に応え、取り込むために、あるいは新しいファンにガンダムの世界観を伝えるために、過去作品のシーンやセリフなどのオマージュ的な要素を盛り込む、声優やナレーターに過去作品で登場した方を起用するなどの取り組みを行ってきました。また、いかにもプラモデルなどのグッズを「売らんかな」という姿勢が感じられる作品があったことも否めません。諸々、事情があるのでこれらのことを悪いとは言い切れません。一方で、マンネリ感、中途半端感がある作品が存在したのも事実ではないかと。 ここ数年では、このあたりが上手く整理され、現在、イベント上映、ネット配信、Blu-ray&DVDなどで公開されている『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や、昨年、映像版が完結した『機動戦士ガンダムUC』のように、最初の作品である『機動戦士ガンダム』に関連する続編、外伝的な作品、最新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のような新しいチャレンジをする作品、さらには明らかにより低年齢層にふった作品で分けて展開することにより、住み分けを行うとともに、ターゲットを明確化していると感じられます。 私が『僕たちはガンダムのジムである』で論じたように、これまでの『機動戦士ガンダム』シリーズというのは、新卒一括採用でなんとなく入った企業で、様々な経験を積みつつ、理不尽な想いもしつつ、組織に居場所を求めていく物語だと捉えています。ただ、世界観が昭和だなとも感じます。 今回の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、社会や企業の中で居場所を探すことの出来ない中、個人の絆に着目している点が2015年っぽいと思っていますし、今の10~20代の共感を呼ぶのではないかと思っています。 やや長くなってしまいましたが、『機動戦士ガンダム』を通じて、昭和~平成の変化を味わうことができるイベントとなっておりますので、ぜひガンダム展に行ってみてください。そして、新作も応援しましょう。
2015.08.09 16:00
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マッドマックス「敵の組織はブラック企業そのもの」と専門家
マッドマックス「敵の組織はブラック企業そのもの」と専門家
 ネットで『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が大人気だ。破天荒なSF物語であるが、千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏は「雇用・労働問題告発映画だ!」と指摘する。 * * * 観てきましたよ、話題の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。ソーシャルメディアで絶賛の声をよく見かけたので、気になっていたのです。 結論から言うならば、この夏、必見の映画の一つです。もう救いようのないくらいトコトン荒廃した世界、ド迫力のアクションはもちろん見どころです。 私はここで描かれているのは、現代の日本の労働社会の問題ではないのかと思った次第です。敵の組織はブラック企業そのものだし、主人公のチームも、ダイバーシティー推進の本質を物語っているように思います。労働社会学視点で、この作品を読み解くことにします。 まず、簡単に作品についてご紹介しましょう。1979年から始まった『マッドマックス』シリーズの、実に27年ぶりの最新作です。核戦争後の地球、石油も水も尽きかける中、そこには生存したもの同士が物質・資源を暴力で奪い合う世界が出現していました。 トム・ハーディ演じる元警官のマックスは暴徒の襲撃を受け、身柄を拘束され、シタデルという砦に連行されます。そこには、ボスのイモータン・ジョーを頂点とした狂信的な集団が、地下水と農作物を牛耳り、恐怖と暴力で支配する社会が築かれていました。 ジョーの部隊を統率する女性のフュリオサ大隊長は彼らが出産目的に監禁していた5人の妻たち(ワイブス)を連れて、「緑の地」への逃亡計画を実行。それを知ったジョーたちは追撃を開始。マッドは上手く逃げフュリオサと合流。元々ジョーの手下だったニュークスも仲間に加わります。果たしてこの逃走劇は成功するのでしょうか・・・? ストーリーはこんな感じです。 ややネタバレですが、冒頭の主人公マックスが突然トカゲを足で潰して食べるシーンからやられます。もう、息つく暇は微塵もない、ずっと興奮と緊張が続く映画でした。ひたすら改造車が爆走し、とことんカーチェイス。これまた極限まで悪趣味なルックスの敵たちが銃撃、肉弾戦などのバイオレンスを繰り返すわけです。いちいち、リアルです。本当、リアル『北斗の拳』か『ジョジョの奇妙な冒険』といった感じです。 まあ、もともとこのシリーズは80年代の日本の漫画、アニメにかなり影響を与えていますよね。映画のトレーラー(予告編)にも登場した、ギターから炎を出す兵士はヘヴィメタルファンからするとたまらない描写でした。夫婦で来たことを、激しく後悔しました。「なんでこんなものを見せられないといけないのか」と帰りのクルマで説教されました。 本題はここからです。冒頭で触れたように、この映画は実は日本の労働問題を描いた映画のように見えてしまったのです。 まず、イモータン・ジョー率いる敵の軍団について。これは、まさにブラック企業です。骸骨を模したマスクをかぶり、自分を神格化させ、味方たちに死んだら生まれ変わるという思想を植え付けるという、カリスマ性、洗脳はブラック企業の経営者がやりそうなことです。過酷な環境においては、独裁者が生まれやすいわけです。人間は洗脳され、目的を与えられ、資源を握られると、ここまで思考停止し、暴走してしまうのかと思った次第です。 イモータン・ジョーの命令でフュリオサたちを追いかける狂信的な暴徒たちの群れは、厳しい営業目標を課せられる営業会社のモーレツ営業マンを思わせます。さらに、火炎を放射するギター兵、彼を乗せたクルマのドラムを打ち鳴らす人たち、それによる熱狂は、営業会社がよくやる表彰式やパーティーを思わせます。人間は熱狂すると、道に外れたこともやってしまうのかと切なくなった次第です。 一方の、フュリオサやマックスたちの逃走するチームですが、これはまさにダイバーシティーが推進された組織です。女性のフェリオサは片手が義手、妊婦もいるワイブス、元々は敵であり主義主張も違うニュークス、ややネタバレですが途中で合流する老いた女性たち。実に多様性のあるチームです。特に女性が活躍していることが話題になっていますね。 ただ、このチーム、見ていて複雑な心境になってきますし、ダイバーシティーの本質を物語っているように思うのです。 世間はダイバーシティー推進の大合唱なわけですが、中には、いかにも福祉的な意味で、あるいは株主や消費者から良く思ってもらうために、見せかけの取り組みを行っている例も見られます。誰も活用しないような制度などを立ち上げるなどの取り組みがそうです。 個人的にはダイバーシティー推進というのは、それを極度に目的化してはいけないと思います。さらには労働者だけでなく、経営側にとっても、社会にとってもメリットのあることでなくてはなりません。真に定着するダイバーシティー推進とは、「せざるを得ない取り組み」「誰もが得する取り組み」です。 この『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でのフュリオサたちの逃亡チームは、「やむを得ず」ダイバーシティーを推進した事例でしょう。それ故の強さも感じた次第です。一方、ここまで仕事をしないといけないのかとも感じ、切なくなりました。 イモータン・ジョーの軍団とも共通点があると言えばあります。それは「ビジョン」を明確にすることです。「緑の土地」というものが「ある」、そこを「目指す」というビジョンが、メンバーを本気にさせたのでしょう。ただ、そのビジョンのために、人はここまで働いてしまうのかと考えるとやはり複雑な心境になります。さらには、ボスを倒したところで、厳しい世界であることはまったく変わらないのですが。 小難しく書きましたが、悪趣味な部分を含め、また社会について考えてしまう点など含めて興味深い作品なので、ぜひご覧ください。カップルでは見ないでくださいね。
2015.07.22 16:00
NEWSポストセブン
AppleMusicなど音楽定額配信に意識高い系の人が騒ぐ様を分析
AppleMusicなど音楽定額配信に意識高い系の人が騒ぐ様を分析
 ネットによる「音楽の定額配信サービス」が本格化してきた。新しいネットサービスが始まると、動きが活発になるのが「意識高い系」の人々。音楽ファンであり、「意識高い系」ウォッチャーでもある千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が「AppleMusic」について語る。 * * * 6月30日、ついにAppleMusicがスタートしました。他にもAWA、LINE MUSICなど音楽の定額配信サービスが盛り上がっています。 ちょうど7月7日のNHK「クローズアップ現代」は、まさにこの定額配信などを中心とした音楽特集でした。長年、ラジオDJなど音楽に関わっているピーター・バラカンさんがスタジオゲストで、他にも佐野元春さん、サカナクションの山口一郎さんなどのミュージシャンや、cakesを運営するピースオブケイク社の加藤貞顕さんなどのコンテンツ・ビジネス関係者が登場し、音楽定額配信に関する意見や、音楽の楽しみ方の変化について語っていました。 というわけで、音楽の定額配信が日本でも本格化したわけですが、この件、音楽ファンであり、意識高い系ウォッチャーの私としては、たまらないイベントでした。私、意識高い系の人たちのTwitter、Facebookを見て、面白がるのが趣味なのですが、AppleMusicやLINE MUSICなどのサービス開始前後の意識高い系のコメント内容が香ばしいこと。「これで音楽の楽しみ方が変わる」などと言ってみたり、「プレイリストを作ってみたぞ」なんてことを言い出すわけですが、コメント内容から普段から音楽を聴いていないことがバレバレだと感じたりするわけです。お前、音楽詳しかったのかよ、と。そして、サービス開始後、しばらくしたら、まったくこの件には言及しなくなるわけです。まあ、定着して普通になったとも言えるかもしれませんが。 ネットでの新しい取り組みが始まると、意識高い系はネット上で大騒ぎを始めるのですが、その後、すぐに黙るのが特徴です。そして、深いことは語れません。ネット選挙解禁の際も、事前に大騒ぎしましたが、その後はすっかり黙ってしまいました。そして、政治そのものについて何も語れない。これも意識高い系の特徴でしょうか。 今回も、音楽配信について一斉に語りつつも、音楽について何も語れないことが可視化されました。AppleMusicの「はじめてのEXILE」プレイリストでも聴いとけと言いたいです。まあ、こういう風に普段、音楽を聴かない人たちが騒ぎ出すということは音楽市場を広げているとも言えるのでしょうけど。 意識高い系批判はこれくらいにして、肝心のAppleMusicですが、10日くらい使った感想としては「まだまだこれからかな」という気がしました。率直に、まだ「安かろう悪かろう」というサービスにさえ思えました(いまは無料期間ですが)。「定額聴き放題」と言いつつ、聴こうと思って探した曲が、聴き放題のライブラリに入っていないということがよくあるわけですね。 結局、買うか、リッピングするかということになってしまいます(それを狙っているのかもしれませんが)。例えば、私が大好きな坂本龍一(そう、メタルの人と思われていますが、こういうインストものをよく聴くのです、書斎、研究室では)を検索してみると、ベスト盤2枚と、他に数枚あるだけです。「聴き放題」と言いつつ、あくまで対象となっている音源から選ぶだけです。 ネットのある環境を前提としたサービスなのですが、選曲してから流れるまでに微妙に時間がかかり、自分のライブラリから直接聴いたいり、同社の音楽クラウドサービスiTunes Matchに登録した曲を呼び出すよりも時間がかかるように思います。 定額配信サービスにより、今後盛り上がると言われているのは、プレイリスト再生なのですが、公開されているものはやや退屈です。たとえば、「Bjorkリミックス集」のプレイリストはほとんど同じアルバムの曲でした。 とはいえ、この手のサービスにより、昔のアーチストや、新人アーチストに光があたる可能性はなきにしもあらずですし、わずかな額とはいえ、定額配信の中で再生されるとお金が落ちるわけで、今後の展開には注目したいと思います。 さて、定額配信スタート時に無理して音楽を聴いた意識高い系は今頃、どんな曲を聴いているのでしょうか。激しく傍観したいと思います。
2015.07.12 16:00
NEWSポストセブン
ヘヴィメタ、アルコール禁止 学園祭の規制強化を識者が考察
ヘヴィメタ、アルコール禁止 学園祭の規制強化を識者が考察
 青山学院大学の学園祭でヘヴィメタルバンドの出演が禁止される騒ぎが起きた。アルコールを禁止する大学もある。いまどきの学園祭事情について、千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が考える。 * * * 今回は今どきの学園祭でのバンド演奏事情について、徒然なるままに考えてみましょう。 ヘヴィメタル好きかつ、大学教員である私にとって、面白い炎上案件を発見しました。青山学院大学の相模原祭実行委員会アカウントが、5月19日にステージの募集団体について、「デスメタルやヘヴィメタル等のジャンル以外でのバンド演奏を募集しております。幅広い年代の方が多く来場してくださる相模原祭に合った演奏という理由で今回の判断となりました。」 とツイートし、炎上気味になった件です。5月20日には、「【参加団体募集についてのお詫び】たくさんの貴重なご意見ありがとうございます。この度は、当アカウントでの不適切な表現により、不愉快な思いをさせてしまい誠に申し訳ありませんでした。謹んでお詫び申し上げます。」 というツイートをし、お詫びしているのですが。 反論も多数寄せられています。面白かったのは、上智大学の公認ヘヴィメタル・ハードロックサークルのSSSという団体がTwitterで反論していたことですね。「従って、 『幅広い年代の方が多く来場してくださるのでヘヴィメタル以外の演奏を許可』という判断は独善的であるばかりか、音楽の文化的多様性をも否定する偏見に満ちた思考の帰結に思われて仕方がありません。」(5月19日のツイートより) いやあ、わかりやすい炎上案件ですね。まず、このデスメタルやヘヴィメタルはうるさい音楽であるのは間違いないわけですが、このような規制というか、差別はこの手のジャンルのファンが怒り出すツボなのですよね。 いや、この手の音楽が迷惑なのは、本人たちもわかっているんですよ。ただ、このような言い方をされると、思わず反射的にツッコミたくなるわけですよ。「俺達の音楽を否定された、キー!」となるのがわかりやすい反応ですが、次のような、やや頭の良い(面倒くさい?)反論もありえますね。「幅広い年代の方が多く来場するというが、いまやメタルは高齢者のファンが多いことをわかっているのかッ!」「最近はアニソンや、アイドルの歌ですらメタル調があるんだぞッ!」「デスメタル、ヘヴィメタルはダメだというが、じゃあ、ハードロックならOKなのか!?ジャンルの違いを説明できるのかッ!」「そもそも、ロックとは反逆の音楽なのだよッ!静かな演奏だが歌詞が過激なバンドはどうするんだッ!」「幅広い年齢層が来場するなら、じゃあ、演歌バンドなら出すのかッ!?」 私ならこうツッコミますね。 Twitterで入ったタレコミ情報によると、青学にはたしかにデスメタルバンドが多いのだとか。軽音サークルからサザンやラブサイケデリコを輩出した大学なのに、意外ですね。たしかに、学園祭に行ったらメタルベンドだらけだと、うるさいという問題というよりは、同じようなバンドだらけということが気になるかもしれませんが。 思うにこの件、ジャンルのことを触れずに、「ステージ演奏してもらうバンドは演奏力、全体のバランスなどを考えて、オーディションで決めます」あるいは「全て抽選で決めます」などと言った方が、まだ納得感があったと思いますね。 ちなみに、学園祭でのバンド演奏ですが、現在は実にジャンルが多様化しています。普通のバンド演奏だけでなく、アイドルっぽいユニットや、ヒップホップやダンスのユニットも出るのですよね。いかにもアイドルのファンが持っているような、ペンライトを持ってファンが盛り上がるという図も見受けられるようになりました。 学園祭全体の話をすると、そもそもバンド演奏だけでなく、もろもろ規制が厳しくなっています。わかりやすいのはアルコールですね。最近は、早稲田大学などのように全面禁止にしているケース、飲む条件を明確化しているケースなどが目立ってきましたね。そもそも、若い人はアルコールを飲まなくなってきていると言われているのですが、OB・OGにとっては寂しいなとも感じます。以前は、脱ぎ芸に代表されるお下品な出し物も見受けられたものですが、最近はこの手のものも厳しくなってきました。 学園祭とは、日々の学生生活を送る場を祭の場とする、普段の日常が非日常となる場です。デスメタルもアルコールも否定されるのはちょっと寂しい気もしますが、これも時代の変化でしょうか。今から、5年後、10年後、学園祭はどうなっているのでしょう。激しく傍観したいと思います。
2015.05.24 16:00
NEWSポストセブン
就活中の学生 「ベンチャー」という言葉を誤解する人が多い
就活中の学生 「ベンチャー」という言葉を誤解する人が多い
 就活生はどのように企業を選べばいいのだろうか。思い込み、勘違いはしていないか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が実例と企業選びのコツを紹介する。 * * *「いつやるの?今でしょ!」 予備校・東進ハイスクールの現代文の名物講師、林修先生の言葉ですね。2013年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞も受賞しました。この年は、この他に、「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」も年間大賞に選ばれましたね。どれも今、言うと、少し恥ずかしいですが……。 今回は、就活に関連して「今、その企業に行くべきなのか?行っていいのか?」「これから、その業界・企業で何が起こりそうなのか?」ということについて考えてみたいと思います。「一刻も早く内定が欲しい」と思うがゆえに、このことがあまりに無視されているのではないかと思うわけです。 最初に言っておきますが、これは答のない話ではあります。複数のエピソード、視点を提示しつつ、徒然なるままに書き綴ることにしましょう。■「そして、みんな同じ銀行になった」という話「俺、一勧(第一勧業銀行)に行くことにした。富士(銀行)と迷ったけど、やっぱり行風が合っているな、って」「俺も迷ったけど、結局、富士(銀行)にした。絶対にウチにきてくれって他の銀行にも口説かれたけどね」 1997年に社会に出た私。学内ではよくこんな会話を聞いたものでした。結局、その後、同じ銀行(合併してみずほ銀行)になったのですけどね……。今の大学生は、おそらく企業説明会で初めて知る事実かもしれませんが。 その頃から、「金融機関は再編が起こるだろう」ということは言われていましたが、これほど早く再編が進むとは思いませんでした。当時「都市銀行(通称都銀)」と呼ばれていた銀行は3メガバンク+αになりました。都市銀行のひとつだった北海道拓殖銀行は経営破綻しました。 銀行に限らず、この約20年で業界の再編は進みましたよね。合併、経営統合などの他にも、事業の売却、切り離しが行われた例などもありますよね。 同じ会社で定年まで勤めたいという志向の学生はここ数年、増加傾向ですが、別に早期離職しなくても、気づいたら企業が変化していったということがあり得るということを覚えておいてください。■そのベンチャー企業は、いまどれくらいベンチャーっぽいのか?「先生、俺、ベンチャーに行きます。リクルートに行きます!」「お前、バカか。とっくに大企業だろ」 大学時代、履修していた講義でお世話になった経営学者米倉誠一郎先生に挨拶に言った時、私はそう言われました。懐かしいです。先生の言っていることはいちいち正しく、当時のリクルートは創業40年近くでしたし、従業員は3000名前後、営業利益も1000億円を超えていました(1兆円の借金があったので、その返済にまわされていたのですが)。私は、採用担当者や社員の話、イメージから「俺はベンチャーに行くんだ」と信じていたわけですが、冷静に数字を見るとベンチャーなワケがないのは明らかです。 このような誤解をする学生をよく見受けます。「ベンチャー」という言葉に踊らされて、実態を見ていないわけです。「ベンチャー」と言っても、規模、資本構成、歴史によって全然違うわけです。 ただ、採用広報上はもうかなりの規模になっていて歴史のある企業でも「ベンチャー」だと訴求するわけです。当然、創業して間もないころ、上場する前、その後では企業の状態も、任される仕事も違うわけです。当然、仕事の醍醐味も変わります。ベンチャーだと思い、大企業と違って、スピード感があって、大きな仕事を任されると思ったら、普通の大企業とあまり変わらなくてガッカリ、ということがよく起こるわけです(この大企業はスピードが遅い、任される仕事が小さいというのも大いなる誤解ですが)。 そのベンチャーはどんなベンチャーなのかという視点を持って置きたいところです。■まずは、業界と企業の歴史と、今後起こりそうなことを考えてみる では、どうすれば良いのか。昔の流行歌じゃないですがその業界や企業の「現在・過去・未来」を直視してみましょう。 就活生が意外に読んでいない資料は、その業界や企業の歴史です。まずは、その業界の複数の企業のホームページで、各社の歴史を見てみましょう。すると、その業界全体と、各社の歴史がなんとなくは分かります。しかも、各社の違いなども明らかになってきます。採用担当者が煽るメッセージとのズレも明らかになっていきます。人気の業界や企業が、実はすでに成熟期、衰退期に入っているという事実が明らかになることもあるわけです。 次に、IR情報のコーナーを見てみましょう。企業は5カ年計画など、中期経営計画をホームページなどで公開しています。これも複数の企業について読み比べると、業界で今後、起こりそうなこと、各社の違いがわかります。他に、業界地図のような本を読むと、業界全体を俯瞰できますし、これまでとこれからがわかります。 これにより、いま、その業界と企業がどのステージにあるのか、今後起きそうなことをひと通り、把握はできます。 最も、ビジネスの世界では今後、何が起こるかわかりません。業界をこえたM&Aなども起こっていくことでしょう。新興企業や老舗企業を買収するなどの動きも既に起こっています。突然、外資の傘下になることさえ、もちろんあります。 何が起こってもおかしくない。それに対する覚悟が必要な時代です。まあ、不安もありますが、むしろ「その変化を楽しもう!」くらいの姿勢でいくと気が楽になりますよ。
2015.05.10 16:00
NEWSポストセブン
就活生よりも話が長い「自分語りが好きな面接官」は嫌われる
就活生よりも話が長い「自分語りが好きな面接官」は嫌われる
 就職活動とはいえども、苦手な面接官はいるもの。学生に嫌われるワースト面接官を、千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が解説する。 * * * 前回、面接官をイラッとさせる就活生の特徴について書いたところ、ネット上でかなり拡散し、話題になりました。読んで頂き、ありがとうございます。 その際に、「就活生叩きだけでなく、面接官の残念な奴も紹介するべきだ」というご意見を多数頂きました。ええ、書きますとも。というわけで、今回は「学生から嫌われる面接官の特徴」をお届けしたいと思います(なお、民間企業で面接「官」という言葉はどうなのかという意見も多数頂きましたが、一般的に使われている言葉なので、このまま行きます)。 では、さっそくいってみましょう!■就活生よりも話が長い奴 学生のことを理解するための面接なのに、延々と自分の方が長く話す面接官がいます。はっきり言って、うざいですね。どうでも良い自分語り、特にバブル期の羽振りの良い武勇伝など聞かされる……。最悪です。こういう話は新橋の居酒屋か、中野のキャバクラでしてください。 もちろん、面接によっては、面接官が長く話すことが重要な局面もあります。面接は他社と迷っている就活生を口説くという側面もあるからです。そのため、その企業で働く醍醐味や、武勇伝などを話すことは重要ではあります。ただ、それが相手に響かなくては何の意味もありません。昔話で、しかも業界用語を使いまくっていて、就活生には何のことか分からない状態になっては意味がありません。 この「自分語り大好き野郎」「面接室を新橋の居酒屋にしてしまう親父」は、猛反省してもらいたいものです。■圧迫面接をする奴 この面接手法自体、学生を不愉快にするだけで何も見抜けないことに早く気づいてほしいですね。まあ、臨機応変に対応できるかどうかくらいは分からなくはないですが。この手の面接は、ネットなどで叩かれやすいですし。 やや余談ですが、私が爆笑したのは、HR総研が実施した、面接に関する学生アンケートで「圧迫面接が下手だった」というコメントがあったことです。某メガバンクですね。2015年度採用の時のことです。この銀行の面接はこの年、評判が悪かったですね。 もっとも、コンピテンシー面接という、その人の価値観や行動特性を掘り下げる面接も、「圧迫面接だ」と言われてしまうことがありますが。私も、その人のことについて深く知りたいと思って、何度も掘り下げ質問をしたら、ネットで「圧迫面接だ」と叩かれたことがあります、採用担当者時代に。学生が勝手に誤解しているケースもあるにはあります。 面接の内容もネットで晒される時代です。気をつけたいところです。■自虐的な話をする奴 その企業に関して、自虐的な話をされると、学生はどんな気分になるでしょうか。きっと「ここには行きたくないな……」と思うことでしょう。 いや、企業の実態について正直に伝えることは大事だとは思いますよ。その方が入社後のミスマッチを避けることができますから。ただ、ここで「給料が安い」「うちの会社なんて……」という自虐的な話をされると嫌な気分になるものです。 この手のことは、急成長した大手企業の中高年の面接官にありがちです。その人たちが入ったころは規模も大きくなく、人気もなかったため、こういう面接官は「ここしか拾ってもらえるところがなかった」なんていう話を学生にしてしまいます。この話を聞いて、学生はひいたり、さめたりするわけですね。 企業の実態を正直に話すのは大事ですが、自虐的な話をされても困るわけです。はい。■身だしなみが整っていない奴 本来、学生にするべき説教ですが……。身だしなみが整っていない面接官っているのですよ。鼻毛、鼻くそが丸見えの人なんかがいるのですね。見ていて、辛いです。笑うのをこらえたり、気持ち悪さに耐えたり。髪が寝癖の人なんかもいたりするわけです。これは、普段、人前に出ない管理部門などの人にありがちですね。管理部門、カタイ部署なのに。 人のコンプレックスのことを笑うのはよくないなと思いつつも、ズラがズレている人もたまにいます。相手に笑われないためにも、ちゃんと固定しましょう。 身だしなみとは少し違いますが、オシャレに力を入れているようで滑っている奴。これも痛いです。ベンチャー企業の若手採用担当者に多いのですが、やたらと襟を強調したワイシャツや、ワイドなストライプのジャケットを着て、髪をワックスできめている人なんかがいるわけですが、似合わないと痛いだけなのですよね。 学生にマナーの件で色々言う前に、自分の身だしなみを何とかしましょう。■加齢臭、香水臭がする奴 そんなに広くない面接室で、加齢臭、香水の臭いはたまりません。密室ですからね。スメハラ(スメルハラスメント)ですよ、これ。人事部の社員はさすがに意識していると思いますが、現場の営業の社員などが面接に參加する際によくあるトラブルですね。 「自分は大丈夫」と思っている人ほど、危ないです。今一度、気をつけてもらいたいものです。 まだまだありますが、この辺で。自社が採りたいと思うような学生ほど、面接官をよく見ているのですよね。就職情報会社各社の調査を見ると、多くの学生が面接官や面接の中身で企業を決めるという結果が出ているのですね。これを読んでいる企業の皆さん、今一度面接官と、面接の中身を見なおしてもらいたいです。 学生さんも、「自分がこの企業を面接してやる」くらいの気持ちで臨みましょう。
2015.05.05 16:00
NEWSポストセブン
企業の面接官が思わず「イラッ」とくる就活生の言動あるある
企業の面接官が思わず「イラッ」とくる就活生の言動あるある
 就活シーズンに突入して、会社説明会などが行われている。そこで企業面接官から見た「イラッとさせられる就活生の言動」を紹介しよう。あなたは大丈夫? 千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が解説する。 * * * 就活シーズン真っ盛りですね。会社説明会も頻繁に行われていますし、エントリーシートの締め切りも連続しています。はやくも内々定を出した企業もあります。就活時期の繰り下げって、何だったのでしょうね。 さて、新卒の大学生というのは、就活がほぼ初めてなワケです。マナーや社会の事情を知らないワケです。採用に関わる人事担当者や、会社説明会や選考に協力する現役社員も、「しょうがないな、学生だから」と基本、大目に見るわけですが……。とはいえ、イラッとくる言動というものはあるわけです。会社説明会や面接の日は1日に何人もの学生と会うわけで、何度もイラッとくる言動をされると、さすがに疲れるわけです。 今回は、あるあるネタということで、学生が無意識にやってしまっている、人事担当者をイラッとさせる言動についてまとめてみました。■「キチョハナカンシャ」の後、質問までの話が長い奴 「本日は貴重なお話、ありがとうございました」という学生の感謝の言葉を「キチョハナカンシャ」と言います。本当に貴重な話だと思っているのでしょうかね。これも1日に沢山の学生が言うわけで、本当はそう言われると嬉しいはずなのに、何度も言われると疲れてしまいます。 ちなみに、この「キチョハナカンシャ」に対する有効なツッコミがあって、「どこが貴重な話だと思いましたか?」と聞くと、硬直する学生というのがいるわけです。残念ですねえ。 しかし!この「キチョハナカンシャ」野郎が真にウザくなるのは、その後の言動です。「本日は貴重なお話、誠にありがとうございました。慶応義塾大学経済学部3年の高橋です」などと言うわけですが、ここからがさらに長い!(あ、ちなみに、慶応の学生は、学部名まで含めてドヤ顔で言うという習性があります。文学部だけはそうじゃないのですけどね)。「私自身、高校で1年間カナダに、大学で1年アメリカに留学していたので、本日のお話はグローバル化を実感する上で大変に勉強になりました。私、TOEICで900点をとるなど、英語力には自身があるのですが、やはりグローバル化時代は、世界に、地域に飛び込むという考えが必要だと思いました。学生時代はアジア、ヨーロッパを放浪したことがあり、タフさなら自信があります。その上で質問なのですが・・・」 はやく質問しろよ、おい!「キチョハナカンシャ」の後、自己アピールなどしちゃうわけですね。ウザいですね。はい。■商品名などを他社のものと間違う奴「御社の『週刊ポスト』の“死ぬまでSEX”特集は、高齢者に夢と希望を与えました。私は新しい価値を創造する、御社で働きたいです!」 あの・・・。『週刊ポスト』は「死ぬほどSEX」なのですけど。まあ、これは高度な(?)間違いですが、明らかに他社の商品を間違って出すと、普段は営業をしている面接官などは「大丈夫か・・・」と思ってしまいますね。■貴社と御社の使い分けが分からない奴 就活の基本中の基本ですね。エントリーシートなどの文面では「貴社」と書き、口頭では「御社」と言います。間違っていても「まぁ、しょうがないな」と許容される範囲ですが、あまりにも間違う学生が多いため、ちゃんと使い分けていると好印象です。■「エントリーシートにも書きましたとおり」を連呼する奴 これは別に言った時点で地雷を踏むわけではないのですが、一度の面接の中で何度も「エントリーシートにも書きましたとおり」と言われると疲れます。「お前、わかってないのかよ」と言われているようにも聞こえるわけで。同様に「先ほどもお伝えしましたが」も何度も言われると、バカにされているように聞こえるわけですね。面接官は、これをさらに他の学生からも何度も聞いているわけで。相手のことも考えましょう。■質問が単なるファン視点の奴 エンタメ系企業、お菓子メーカーなどの会社説明会でたまに登場しますね。単なるファンで、「次はどんな商品が出るのですか?」などの質問をしたり、質問の場でオタク知識を披露したり。「やっぱり、こういうヤバい奴が受けているのか……」と場の雰囲気も悪くなっていくのですよね。■「仕事はつらいですか?」「やりがいはありますか?」などのザックリ質問 出ました。ザックリ質問。いや、悪意はないのでしょうけどね。「こいつ、質問力、弱いな」と思われるだけでなく、「俺、疲れている風に見えるのかよ?」と思われることも。 これは言い回しの問題で「仕事をしている時に、つらいと感じるのはどんな時ですか?」「仕事でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?」と聞くと、印象はだいぶ変わります。 女子学生が聞く「女性にとって働きやすい環境ですか?」というのも、要注意です。というのも、自分の中での働きやすさを定義していないと、聞きたい答にたどりつけないわけです。■受講票、参加票を出すのが遅い奴 会社説明会や面接などでは受講票・参加票などを受付で出すことがあります。これを出すのが遅い奴などは、流れを止めるので、印象が悪いですねえ。しかも相手に対して方向を揃えて出さない奴などは、気遣いができないのかという話になります。このあたりをちゃんとチェックしている企業もあります。 まだまだありますが、このへんで。冒頭にも書きましたが、別にちょっとしたマナー違反で激しく減点されるわけではありません。学生だから仕方がないなと思うわけです。マナーというものは、いつも変化していますし。 ただ、社会人というのは相手のことを考えて行動しないといけないのです。また、マナーを正しく守れる人というのはかっこいいものです。その言動は相手をイラッとさえないか。意識しましょうね。
2015.04.26 16:00
NEWSポストセブン
信州大学長の「スマホ談話」 大学教員が現実的に考えてみた
信州大学長の「スマホ談話」 大学教員が現実的に考えてみた
「スマホやめますか、信大やめますか」。信州大学入学式での学長挨拶がネットで話題になった。批判されるようなおかしな内容だろうか。「むしろ素晴らしい」と、作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が語る。 * * * 少し前の話ですが、4月4日に行われた信州大学の入学式における山沢清人学長の挨拶が話題になりました。4月5日の「スマホやめるか、大学やめるか」という見出しの朝日新聞の記事がネット上で拡散し、賛否を呼びました。 4月から千葉商科大学国際教養学部の専任講師に就任し、本格的に大学人としてのキャリアを歩み始めた私に言わせると、このニュース、今の大学、学生、メディアを語る上で絶好の材料です。様々な角度から、徒然なるままに語ることにしましょう。【入学式がニュースになった件、実はこれがすごい】 まず、この件で注目すべき点は、そもそも入学式がニュースになったということです。これはすごいことですよ。 大学は広報機能を強化しており、ポジティブなニュースがメディアに載るよう努力しています。入学式も広報の頑張りどころです。ただ、全国には約780もの大学があるわけで、東大を頂点とした有名大学が全国紙に取り上げられる他は、その地域を代表する大学が地方ブロック紙、地方紙に載るくらいです。ざっくり計算ですが、約95%の大学の入学式はメディアからスルーされます。 今回、大学の入学式で全国区の話題になったのは、この信州大学と、つんく♂さんが登場し、喉頭がん治療のために声帯除去したことをその席でカミングアウトした近畿大学くらいでしょう。「良い話」をしている学長はたくさんいるのに、ここまで全国にメッセージが届いた例はなかなかありません。 まず、ニュースになったことを評価すべきだと思います。それくらいメッセージが明確だったということでしょう。【脊髄反射するネット民 そして全文掲載の価値】 ネット民は、タイトルだけで脊髄反射する。この件でもその習性が可視化されました。「スマホやめるか、大学やめるか」というタイトルだけがひとり歩きしました。 この件、朝日新聞のサイトでは、入学式の概要を報じたニュース(今回ネットで拡散したニュース)と、学長のスピーチ全文を両方掲載したのですね。概要の本文を読むだけでもだいぶ印象は変わります。 山沢学長は、昨今の若者世代がスマートフォン偏重や依存症になっている風潮を憂慮。「スイッチを切って本を読み、友だちと話し、自分で考える習慣をつけ、物事を根本から考えて全力で行動することが独創性豊かな学生を育てる」と語りかけた。(朝日新聞デジタル 2015年4月5日17時03分掲載記事より抜粋) スマホをやめるか、大学をやめるかと極端に迫っているわけではありません。全文を読むとさらに印象は変わります。ICTの活用などについてもふれており、スマホを否定しているわけではありません。 朝日新聞の見出しを「ミスリードだ」と批判する声も見受けられました。たしかに、やや誇大かなとも思います。ただ見出しというものは、内容をわかりやすく、読みたくなるようにまとめるものです。そもそもそう割り切って読むべきではないでしょうか。 最近良く見かける「全文掲載」ですが、これは様々な誤解を解消する効果があります。元のソースを読んで判断するというのは大事な姿勢だと思いました。すべてはそうできませんが。 この記事自体が、大学生のメディア・リテラシーの良い教科書だと感じた次第です。【スマホの電源を切れは正しい】 ここで、大学生とスマホについて考えてみたいと思います。 私の見解は、大学での学業においては、信州大学山沢学長が仰るとおり、スマホのスイッチを切る時間、少し距離を置く時間も必要だと思います。言うまでもなくスマホは便利です。ただ、大学における学びでは、書籍を広げて考え事をしたり、仲間と議論する時間も必要です。書籍は情報収集のツールだけではありません。考えるパートナーなのです。これに向き合い、考えることが重要なのです。研究・教育に熱心な先生は、安易な情報収集手段に走ることを危惧していると言えるでしょう。 ただ、学生がこれだけスマホ依存になってしまうという現実は、単に「けしからん」というだけではなく、直視すべきです。そこには、想像をこえた利便性や、中毒性があります。ここも理解しておきたいところです。【講義中のスマホをどうすれば良いかという問題】 大学教員の現実的な悩みを話しましょう。それは、講義中のスマホをどうするかという問題です。これは、禁止にするべきものなのでしょうか。答は簡単ではありません。 先日、他大の教員との飲み会(私の就職お祝い会です)で話題になったのが、このスマホ問題です。私も含めて参加した教員の間で出たのは「講義中の私語はNG。だが、居眠りとスマホいじりは容認」という結論でした。判断基準はこうです。私語は他の学生に迷惑がかかります。ただ、居眠りとスマホいじりに関しては、そこに走らないような面白い、中身のある講義をしろよ、と。これは教員の自己責任ではないかと思うのです。 講義中のスマホは、必ずしも悪だと言えない部分があります。というのも、関連したキーワードをその場ですぐに調べるなどの点において有効だからです。 最近の大学の教室ではWi-Fiが飛んでおり、学生はPCやタブレットをつなぎ、その場で調べつつ、メモもこれでとります。企業の会議もそうなってきていますね。この利便性も否定してはいけないと思うのです。 今回の信州大学の学長スピーチとその広がり方は、大学の現実を考える上でもメディア・リテラシーを考える上でも良い教材だと思いました。一大学教員としては、スマホの中毒性に負けないような、意味のある講義をする、良い教科書となる本を書くと改めて決意した次第です。はい。皆さんはどう思いましたか?
2015.04.12 16:00
NEWSポストセブン

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