サントリーに勤めながら、自称「窓際OL」として会社でのあれこれを軽妙な筆致で赤裸々に綴ったエッセイが人気の斎藤由香さん(52才)。同じ敷地内に二世帯別居していた実父の作家・北杜夫さんを2011年10月に亡くした(享年84)。現在は、母親(77才)が母屋で一人暮らし。母にいつまでも元気でいてほしい、そして自分にいつ何があるかわからないとの思いで始めた斎藤流「生前整理」とは──。斎藤さんが語る。
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母を亡くした友達から、母が亡くなっただけでも悲しいのに、冷蔵庫を見たら、満杯で、しかも賞味期限が切れた調味料なんかがいっぱいあって、それを片付けたり、古着を整理するのがつらかったという話を聞いたんです。
私の母の家を見たら、もう全く一緒の状態で。冷蔵庫も冷凍庫もいっぱいで、缶詰や古着、紙袋、絶対着ないであろう洋服や使っていない鞄などがたくさんあったんです。
父が亡くなった後でしたから、母にはいつまでも元気でいてほしい、いつまでもきれいで、きちんとした母でいてほしいという気持ちで、「ママ、片付けなきゃだめだよ」とか、冷蔵庫を開けては「こんな古い冷蔵庫のにおいがついたお肉なんか食べられないじゃない」と私が口うるさく言ったんです。そうしたら、母がすごく怒って、「もう二度と私の家に来ないで」って、大げんかになったことがありました。
それからは私も言いすぎたなと深く反省して、今は一切言わないようにしています。
私自身は、夫や息子に迷惑はかけられないと思って、たんすの中の着ない服はすべて処分して、若い時につけていたアクセサリーやスカーフ、ハンドバッグなどは、従姉妹たちにあげました。
昔はショッピングが大好きでしたが、今はせっかく整理したタンスがまた埋まるのが嫌で、ほとんど買わなくなりましたし、今も頑張って、日々捨てています。母も時間の余裕ができたようで、古着をリサイクルに出したりと、少しずつ家がきれいになってきています。
※女性セブン2014年5月22日号