いまやヘアケアやスキンケアなど全体で1500億円を超える規模になったといわれるメンズコスメ市場は、右肩上がりの成長を続けている。商品もエステサロンも”男性向け”と銘打ったものが激増しているが、見込みほどではなかったと撤退するものも少なくない。関心がある層が多い割に、現実に実践しやすい環境が少ないからだと藤村さんは訴える。
「意識して『しみ』『日焼け』『しわ』などを検索して情報を集める男性には実践する道がありますが、圧倒的に多数派のなんとなく必要性に気づいたばかりの普通のおじさんにはハードルが高い。たとえば、肌ケアの必要性を感じて奥さんの化粧品を使うと嫌がられたり、張り切ってデパートの化粧品カウンターへ行き、アラミスやクリニーク、資生堂のコスメを買いそろえると浮気を疑われたり。
これから求められるのは、女性と男性がシェアしやすい肌ケア用品でしょう。男女どちらからも支持されるユニセックスなものなら、奥さんやパートナーと一緒に使うのが不自然ではありませんから」(前出・藤村さん)
男性向けとはいえ、これまでのように「脂対策」「汗対策」などコンプレックスを強調した商品ではなく、機能性を残しつつパートナーの女性が自分も使いたくなるようなかわいらしさを感じるジェンダーフリーなコスメが主流となりそうだ。