一方で、“危険物”ではないが取り扱い不可と規定される荷物もある。たとえば、仏壇や遺骨、位などは他の荷物とともに運ぶことが、「魂への無礼にあたる」(前出・業者幹部)として、引き受けない業者が多い。しかし、運ぶ前に寺の住職による“魂抜き”さえすれば、宅配する業者もある。
「何かあった時に責任を負えないものはできるだけ運びたくない。魂さえ抜けていれば、仏壇が破損しても所有者はそんなに怒らないと考えられる。つまり、責任を放棄できればたいていの物は運べる。
たとえば、“形が潰れても構わない”と一筆もらった上で、高さ1メートルほどのウェディングケーキをクール便で運んだり、北陸から東京まで雪だるまを運んだケースもある。工夫して運んだが、到着した頃は10分の1ぐらいの大きさになっていた」(同前)
田舎の母親が都会で暮らす1人暮らしの子供の晩御飯にとカレーを鍋ごと送る、なんて依頼はよくある話。
熱帯魚など生きた観賞用の魚も宅配可能だ。破れにくいビニール袋に水と魚を入れ、ボンベで酸素をたっぷり注入して、最後に発泡スチロールのクーラーボックスに入れる。要は上手に梱包さえして、他の荷物の迷惑にさえならなければ、何でも送れるのだ。
たしかに便利にはなった。しかし、“死体の宅配便”のような犯罪利用を防ぐ方法は早急に検討されるべきだろう。
※週刊ポスト2014年6月13日号