さらに、不確定要素は続く。前出の安蔵氏が続ける。
「4Kの本放送が始まると同時に、今度は4K画質の4倍の超高性能映像を再現できる<8K>の試験放送が始まります。そして、東京オリンピックが開催される2020年には8Kの本放送もスタートする予定です。
国やメーカーとしては、東京五輪は最低でもすべての放送が4Kで視聴でき、それに加えて8Kの技術力や標準規格を握って世界をリードしたい狙いがあります」
ただ、8Kともなると70インチ以上の大画面でなければ高画質が伝わらないうえに、「放送事業者や視聴者への普及速度を無視して推し進めれば、また日本の技術はガラパゴス化しかねない」(前出・キー局役員)との危惧も。
政府はIT戦略の核として、4K/8K技術を日本国内のみならず世界に売り込んで経済再生の起爆剤にしたい考え。ならば、なおさら官民の足並みを揃え、実際の放送普及とビジネスモデルの構築でニューメディアの魅力を高めなければ、かつてアジア勢に敗れた液晶テレビと同じ轍を踏むことになるだろう。