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リアルの大切さ学ぶ 新入社員研修で「買い物代行サービス」

取締役・桂氏(左)と新入社員の小林さん(右)

6月16日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)では、「ゆとり世代は日本を救うのか?」というテーマで、「ゆとり」世代と「団塊」世代が激論を交わした。

「ゆとり世代」とはおおよそ1986年度~1994年度生まれの世代を指す。今年19歳から27歳となる新入社員たちは、“ど真ん中”。そんな「ゆとり」世代は、何かと“言われたことしかやらない”“ストレス耐性に弱く、すぐ諦める”などと言われがちだ。

番組ではマナー講師の平林都氏(53)が、「情報力は認める」としながらも、「全部ネットだから考える力を持っていない」と指摘。しかし慶応大学に在学しながらクラウドファンディング事業を起業した男性(21)は、「自分で考える機会を多く与えられた」「やりたいことをとことん追求する機会が得られた」など、「ゆとり教育」を前向きにとらえている。モデルの栗原類(19)も、「みんながネットに100%依存している、という考えは間違っていると思う」と反論した。

大学1年生で起業し、2012年10月史上最年少で東証1部へ上場した会社に、株式会社リブセンスがある。代表の村上は、1986年生まれだ。そのリブセンスが、2014年度の新卒新入社員研修として興味深い取り組みをしていたので、話を聞いた。

研修では、新入社員たちが、ネットで注文すれば、商品代金500円ごとに配達料50円で30分以内に欲しいものを届けてくれる、「Pacirii」(パシリイ)というサービスを期間限定で実施(商品代金は別途)。「アメリカで最近流行っている速達系サービスをもとにして、日本で買い物代行の形でサービスを創る」というお題のもと、新入社員4人が内容を考え、取り組んだものだ。

研修を統括した取締役の桂氏は、“自分たちでサービスを考えさせる”という取り組みについて、

「新入社員は、すでに走っているものにジョインする形が多い。そうではなく、ゼロから1を創るという機会を設けたかった」

と説明する。“外へ買い物に行き、自らお客様に届ける”という発想については、「会議室のなかで終わらせたくない」という思いがあったという。「実社会でやるのは、ケーススタディとは違う。頭の使い方もぜんぜん違う」(桂氏)

とはいえ、4月1日に入社して、期間限定の同サービスを開始したのは4月末。新入社員の小林さんは、

「実現可能なエリアと、そこで多そうなニーズを、仮説をたて、社内でテスト的に運営をしてから始めました」

と振り返る。

社会人1ヶ月目。仕事の進め方について、「煮詰まることが多かった」。桂氏をはじめとした先輩社員に、フレームワークを構築するヒントをもらいながら、実際にサービスがスタートすると、1日90件もの注文が殺到する日もあったという。注文をさばくことはもちろん、「母の日用に花束を選んで買ってきてもらえるか」「美登利寿司に並んでもらえるか」など、さまざまな問い合わせに対応するカスタマーサポートも考えなくてはならない。さらにアルバイトを雇うということも検討し、そこでは業務量と人を採用するバランスに頭を悩ませ、人件費の問題にも直面する。選択と判断の連続で、意思決定を、誰がどのようにおこなうのかなど、学ぶことは多かったようだ。

桂氏は、研修について、「体験してもらったことによって、何か知識を得たというより、ものの捉え方に変化が起こったと思う」と、「体で覚える」ことの大切さを痛感。そして、「こういった研修のあとに座学があったほうが、必要だとわかったうえで学ぶので、吸収もできる」という。また、エンジニアである小林さんは、「研修が終わってから、自分の立ち位置を再確認できた。多くの人につかってもらえるメディアを創っていきたいなと思った」と語った。

若者が「言われたことしかやらない」というのは、乱暴なくくり方だ。リブセンスの取り組みからは、自分たちの力で、何ができるのか――さまざまな選択肢があるなかで、“考える場”があることが、何より大切だということがわかる。上の世代は、その“場”を用意することこそが、務めなのではないだろうか。

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