人間ドック学会は、専門学会から批判を受けて、ちょっとトーンダウンしてきている。それが気がかりだ。なぜ、専門家同士が同じ舞台の上できちんと議論をしないのか。批判の応酬だけでなく、早く議論をする場を持つべきだ。
正常と異常の境目は、ある一線を持って区切れるわけではなく、その前後をはさんでボーダーラインがあるはずだ。だから病気の治療は、その人の年齢や環境、病気への取り組みに関する生活哲学みたいなものを加味しながら、医師と患者で決めていくものだと思う。
専門家同士、また医師と患者がきちんと話をするためには、冒頭に書いた通り、医療従事者が製薬会社から一切の研究補助や寄付金をもらっていないことが大前提。医学界の幹部はまず身の周りをキレイにしてほしい。その上で、国民の健康のために、誠実に議論しなければならない。
今こそ、新しい医療倫理を作り上げていく時代がきているように思う。
※週刊ポスト2014年7月4日号