国際情報

最近のハリウッド映画の中国人はなぜ「いい人」ばかりなのか

 今年のアカデミー賞で7部門を受賞し世界的大ヒットとなった『ゼロ・グラビティ』では中国の宇宙船が大活躍。リメイクされた『ロボコップ』のロボは中国製。近年のハリウッド映画に“中国礼賛”が目立つのはなぜか。在ロサンゼルスのジャーナリスト、高濱賛氏が報告する。

 * * *
 最近、ハリウッド映画で中国の存在感が際立っている。その大半は中国の歴史や文化、経済や産業の発展ぶりをストーリーの背景にあえて使う、好意的なものだ。登場する中国人も、かつて多かった「カンフーを駆使する悪役」のイメージとはほど遠い。

 代表的なのが、2013年4月に公開された、ロバート・ダウニーJr.主演の人気アクションシリーズ『アイアンマン3』。

 同作はわざわざ米国・国際版と中国版の2つのバージョンが制作された。中国版では北京市街が映し出され、中国の書画や漢方医術、中国製の携帯電話など「メイド・イン・チャイナ」の小道具がうるさいほど出てくる。

 中国人女優の范冰冰が出演し、国際版では端役の中国人医師「ドクター・ウー」の出演場面が増加している。その役どころは、世界の科学者がなしえなかった主人公のピンチを救うというもの。さらに、国際版に登場する悪役も、原作の中国人から国籍不明のテロリストに変更されるなどしている。

 中国に配慮した「脚本の書き換え」「原作とは異なる筋書き」などは朝飯前だ。2013年に公開されたブラッド・ピット主演の『ワールド・ウォーZ』は、人類を滅亡させるウイルスが原作では中国で発生したのに、これを変更するなど脚本段階から“自主的”に修正した。

 露骨な中国びいきの裏には、中国が出すカネと映画の売り先としての「市場」がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト