ビジネス

経営危機のスカイマーク 考えられる存続方法を大前氏が分析

 日本初のLCC(格安航空会社)として1998年に運航を開始した航空会社、スカイマークが経営危機に直面している。スカイマークが生き残るためにどんな方法が考えられるのか、大前研一氏が解説する。

 * * *
 国内第3位の航空会社スカイマークの経営危機が取りざたされている。発端は、スカイマークが国際線参入を狙って発注していた世界最大の総2階建て旅客機エアバス「A380」6機の代金支払いが滞り、エアバスから契約解除の通告を受けたことだ。700億円超の違約金が発生する恐れがあるため、スカイマークが事業の継続に「重要な疑義」が生じていると開示し、同社の資金繰りに対する不安が高まっている。

 実は私は、スカイマークがエアバスから契約解除を通告されたというニュースが出た直後、雑誌の取材に答えて「エアアジアが救済すべき」と発言していた。なぜ、そう考えたのか。

 かつて航空会社が生き残るコツは、機体や路線の数だと言われた時代を経て、空港のターミナルとボーディングゲートのモノポリー(独占権)だと考えられていた。つまり、大空港のターミナルを占有してボーディングゲートを支配し、そこを拠点としてハブ&スポークス(*自転車の車輪のようにハブ空港に路線を集め、そこから各地の空港に分散する)の路線網を構築すれば、乗り継ぎが便利になって競争に勝てたのである。

 しかし、ターミナルを占有してハブ&スポークスの便利な路線網を構築できるのは結局、資金が潤沢で機体や乗務員を数多く保有している大手航空会社に限られてしまう。このため、たとえばレーガン革命の規制緩和で新しい航空会社が雨後のタケノコのごとく登場したアメリカの場合は、ハブ&スポークスではなく、A空港とB空港をダイレクトに結ぶ「シティペア」という方式を徹底的に考えたサウスウエスト航空などが生き残った。

 そうした視点でスカイマークを見ると、そもそも会社の規模からしてA380を使える力はない。スカイマークの西久保愼一社長は自分の会社の実力と後発航空会社の生き残り戦略を完全に読み間違えたと思う。航空会社の経営に関する基本的なノウハウと大型機より運用に柔軟性がある中小型機が主流となっている現在の航空業界のトレンドを熟知していたら、500席以上の巨大なA380を6機も発注するはずがない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン