日経BPヒット総合研究所上席研究員の品田英雄氏が話す。
「高度成長期の1970年代やバブル期の1980年代後半など景気のいい時代は、ファッションでも赤や黄、緑などの有彩色が人気となり、逆に景気の悪いときは地味な色が選ばれる傾向がありました。近年、モノトーンがカッコイイと言われていたのは、景気低迷により無難で個性を主張しない色が好まれたからともいえます。
そして、再び鮮やかな色が人気になっている理由は、景気回復の基調に乗って楽しさや面白さといった付加価値を取り入れたい人たちが増えているため。エンターテインメント業界でいえば、きゃりーぱみゅぱみゅのファッションセンスが支持されているのは象徴的です。
クルマもただ走るだけの実用性重視から個性が求められる時代。カラーバリエーションを含めて“遊び心”を持った車種が注目されているのは、時代の明るさを背景に再びクルマが自己表現のシンボルとして回帰している証拠ではないでしょうか」
品田氏は消費者の中にある“アゲアゲな気分”が商品トレンドの色に結び付いていると分析する。そういう意味では、トヨタ車の鮮やかなカラー戦略が時代を映す鏡になっているのかもしれない。