ライフ

生活保護に関わる新卒公務員ケースワーカーの奮闘を描く漫画

【マンガ紹介】『健康で文化的な最低限度の生活(1)』柏木ハルコ/小学館/596円

 仕事や勉強など何かを始めたばかりの「新米」だった頃のこと、覚えていますか? 慣れてしまえば忘れがちなあの頃の気持ちを、最近思い出させてくれた作品があります。

 柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』の主人公は新卒公務員・義経えみる。福祉保健部生活課に配属が決まり、いきなり生活保護にかかわるケースワーカーとして働くことになります。

 少し前に生活保護の不正受給が話題になりましたよね。一体なぜそんな不祥事が起きてしまうのか? シンプルに見える問いですが、簡単には答えられない難問であろうことが本作の第1巻を読んだだけでもビンビン伝わります。

 一見明るいけれど子供を虐待しているかもしれない若い母親や、生活保護を受けることへの申し訳なさから何も言わずにガマンする男性。見た目や短い会話だけではわからない複雑な心情が次々に描かれ、対応の難しさにハラハラ。その上、えみるの担当ケースで自殺者が出てしまい…。

 えみるは昔からマイペースと言われてきて、鈍感さをちょっと気にしているというキャラクター設定。「空気が読めない」「第一印象で人から好かれるタイプの人間じゃない」という不器用な主人公の姿が共感を呼びます。頼れる先輩から「新人だからこそできることもある」と励ましのアドバイスを受けるシーンには思わずグッときました。

 生活保護の漫画というと構えてしまうかもしれませんが、かっこつけずに描かれる「新米」の奮闘には笑いあり涙あり。しっかりエンターテインメントでありつつ、貧困の重たい現実にもひたひた迫る注目作です。
(文/横井周子)

※女性セブン2014年10月9日号

関連記事

トピックス

バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
ドラマ『Believe -君にかける橋-』で木村の妻役で初共演
初共演・天海祐希もハイテンションに! “木村拓哉の相手役”が「背負うもの」と「格別な体験」
女性セブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン