一方、いずれの車種も低評価を下されてしまったのがホンダだ。「ヴェゼル」に至っては10km~25km/hと低速作動域とはいえ、32点満点で6.7点と対象車の中で最低評に終わった。
「ホンダは『車線はみ出し防止』システムの搭載車を2003年に発売するなど、早くから安全技術の開発で野心的に取り組んでいましたが、その後の展開が思うように進まず他メーカーに遅れを取ってしまいました。
でも、まだ競争は始まったばかり。あと数年もすればミリ波レーダーの装置も安価でできるようになるでしょうし、先進安全自動車をめぐる各メーカーのスペック争いは一層激しくなるでしょう」(前出・井元氏)
だが、いくら安全性能に優れたクルマを購入したからといって、自動車事故がゼロになる万能システムでは決してない。最後に井元氏が警鐘を鳴らす。
「自動ブレーキは頼りにする装置ではなく、あくまでインシデント(事故が起きそうな事件)に止めるための支援システムであることを、ユーザー側も自覚すべきです。
アクシデント(実際の事故)が起きてからメーカーのせいにするような人が多数出てくれば、安全技術の進歩はそこで止まってしまうでしょう」