ビジネス

スバルに最高評価 「自動ブレーキ」26車種合同テストで明暗

スバル車の自動ブレーキテスト風景(日本自動車研究所にて)

 どのクルマが一番ぶつからないのか――。ASVと呼ばれる「先進安全自動車」の性能は、意外にもメーカー間で明暗がはっきり分かれる形となった。

 車の衝突回避や事故の被害軽減システムとして、いまや多くの車種に搭載されている「自動ブレーキ」。これまではメーカー各社が公表した安全基準の数値でしか性能を比べることができなかったが、国土交通省が車種別に“優劣”をつける初の画期的な試みを行った。

 10月23日。小雨がぱらつく寒空の下、茨城県つくば市にある日本自動車研究所には国交省・自動車局の担当者をはじめ、各メーカーの技術開発陣やマスコミ関係者が多数集まった。8メーカー26車種に及ぶ「予防安全性能アセスメント試験結果」の発表と、自動ブレーキ(衝突被害軽減制御装置)の試験デモがあったからだ。

 気になる結果を紹介する前に、自動ブレーキ装置に使われている3方式の特徴(以下、国交省の資料をもとに作成)を知っておく必要がある。

●ミリ波レーダー
波長の短い電波を前方に照射して走行する車両や人などの位置、速度などを検知する。検知距離が長く、明るさや天候に左右されないが、レーダーの前に遮断物が置かれていると十分な機能を発揮しない場合もある。

●レーザーレーダー
レーザーレーダー受発光装置から発射した光の反射をもとに、障害物までの距離を検知。ミリ波レーダー装置に比べて安価だが、検知距離が短いのが難点。

●カメラ(単眼、複眼)
撮影した映像を分析して障害物や歩行者を検知する。豪雨や窓の汚れ、ダッシュボード上に置かれた物の反射などがあると、機能を発揮しない場合がある。

 今回、評価対象となった26車種の中でも、日産「スカイライン」(ミリ波レーダー)、スズキ「スペーシア」(レーザーレーダー)、スバル「フォレスター」(カメラ)など、メーカーや車種によっても採用方式がまちまち。トヨタの「レクサスLS」のようにミリ波とカメラを複合させた自動ブレーキ装置もある。

 また、車種によって自動ブレーキが利く条件が時速10km~60km/hの範囲内でばらつきがあるため、より高速まで作動域を持つ車種が高得点になる傾向が見られた。

 そうした性能差を認識したうえで、自動車ジャーナリストの井元康一郎氏に結果を分析してもらった。

 自動ブレーキ試験で満点をとったのは3車種。トヨタ「レクサスLS」、日産「スカイライン」、スバル「レヴォーグ/WRX」だ。

「トヨタは技術の粋を尽くした“ミリ波+カメラ”のフル装備を高級車のレクサスに搭載しているので高得点は当然の結果といえます。また、自動運転技術に力を入れる日産は裾野となる安全技術が着実に育っている。

 それよりも評価すべきはスバル。ミリ波の“飛び道具”も持たず、カメラ方式だけの自動ブレーキ『アイサイト』が人や物を認知する能力でトップランナーになっているのは、同社が基礎的な安全技術をコツコツと積み重ねてきた成果です」(井元氏)

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン