なぜ、資源なき独裁国家がIT大国になったのか? 向上心があって有能でありながら、低賃金でも仕事を求める若い大卒のIT技術者が多数いるからだ。ベラルーシでは年間約1万8000人のIT技術者が大学を卒業する。この人たちをできるだけ国内に留めておくため、ミンスク郊外にハイテクパークを建設して海外からIT企業を呼び込み、就職先を確保するとともにインキュベーター(育成拠点)にしているのだ。
ただし、若い人たちは息苦しくて生活が苦しい自国の将来に見切りをつけ、さっさと海外に逃れたいと思っている。そのためのパスポートは二つ。一つは「IT」、もう一つは「語学」だ。
語学の一番人気は、もちろん英語である。だからベラルーシの若者は英語が非常にうまくなっている。二番人気は、なんと日本語だ。アニメなどから日本に関心を持って日本語を勉強している若者が多いのである。私たちはベラルーシ国立大学で日本人の先生に日本語を学んでいる女子学生たちとも懇談したが、太宰治を研究していて『人間失格』をテーマに議論を始める学生もいて驚かされた。
※週刊ポスト2014年11月21日号