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夫の死に備える妻にとっておきの相続対策は「おしどり贈与」

 夫の遺産相続は、デリケートな話題だけに、触れずに放置しがち。しかし、法律では、夫が遺言を残さず死んだ場合の相続は、妻が半分を受け取り、残り半分を子供たちで分けることになるのでもめ事がおきやすい。

「子供たちも、もらえる遺産はもらいたいと思うのが自然。現金はなくても、自宅が都市部の土地付き一戸建てなら売却すれば数千万になる。“お母さんはもう1人なんだから、小さい家に引っ越せばいいでしょ”と言い出す子供が出てきてもめるケースは非常に多いです」(税理士法人チェスターの福留正明さん。以下「」内同)

 住み慣れたわが家を、まさか自分の子に追われるとは考えたくない。

「遺言があれば、その内容が最優先されるので、相続人は従うほかありません。できれば、夫が生きているうちに、相続を受ける妻や子供も一緒に話し合い、全員が納得した内容で残すことが理想です。故人の遺志さえわかれば、多少遺族に不満があったとしても納得しやすいのです」

 だが、夫に遺言をリクエストすると、現実的にはどうしても、“財産ほしさ”に死を待っているかのように聞こえてしまい難しいという。そこで、遺言ほどシリアスにはならない、妻にとっておきの相続対策がある。

「通称『おしどり贈与』と呼ばれる生前贈与を活用しましょう。この贈与は、婚姻関係が20年以上ある場合、配偶者へ居住用不動産、もしくはその購入資金の生前贈与が2000万円まで非課税となるのです。仲のよい夫婦が、妻へ生前に遺産を分けようと活用することから、“おしどり贈与”と呼ばれています」

 この贈与を使うと、例えば、夫名義の自宅の不動産価値が3000万円だった場合、2000万円分までを非課税で妻名義にすることが可能に。一部でも妻の財産にしておけば、夫が死んでも自宅が丸ごと相続財産にならずにすみ、子供に売却を迫られても、拒むことができるのだ。

 生前贈与で非課税になるのは、通常年110万円のみ。2000万円もの額が非課税で贈与できるのは、この“おしどり贈与”だけとなる。

※女性セブン2014年11月28日号

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