長崎ちゃんぽんを目玉に、全国約600店舗を展開するリンガーハットでは、現在21店舗で「居酒屋メニュー」を提供している。その一つである上野御徒町店をフードジャーナリスト・はんつ遠藤氏と訪れた。
外観や内装は木目調で統一され、お馴染みの黄色い看板の店舗とは見た目からして全く違う。遠藤氏が解説する。
「店をハシゴするのが経済的に厳しい層にとっては、酒を飲んだ後にシメのちゃんぽんまで同じ店で食べられる営業形態が魅力的です」
同店では2階に居酒屋風の個室スペースが用意されている。通常のメニューに加えて唐揚げ(4個、302円)などのつまみが注文できる。
生ビールのグラス(中)ともやしサラダのセット(399円)に、つまみの羽根付き鉄鍋ぎょうざ(432円)、枝豆(183円)、野菜たっぷりちゃんぽん(734円)を組み合わせれば、シメまでしっかり食べて1748円という値段設定だ。広報担当によれば、
「居酒屋メニューのある店舗の客単価は約1000円ですが、滞在される時間は15~30分程度で回転率がいい。その分、メニューをお安く提供できます」という。
遠藤氏は、リンガーハットの強みは値段だけではないと指摘する。
「国産野菜100%を打ち出していることも人気の理由の一つです。食の安全への意識はどんどん高まっていますが、リンガーハットではその流れを先取りして2008年から徐々に使用する食材の国産化を進めてきました」
早い、安い、うまいを各チェーンが打ち出す中で、「安全・安心」で差別化を図っているのだ。
撮影■岩本朗
※週刊ポスト2014年11月28日号