リタイヤ後、夫婦で海外旅行に行こうと思っても、言葉がわからなければせっかくの旅行も楽しめない。せめて旅先で困らない程度の英語力を身につけようと、中高年から英語を「学び直し」する人が増えているという。
とはいえ、若いころと違って記憶力も低下気味で、そう簡単に英語力が身につくわけでもない。中高年が英語を身につけるにはどうすればよいのか、ここでは、40代後半から一念発起し半年で英語を習得した会社員男性M氏(52歳、都内在住)のケースを紹介する。
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受験英語は綺麗さっぱり忘れてしまい、会社でも英語を使う機会なんてなし。海外旅行では英語ができない悔しさを味わってきました。
それで40代後半から一念発起したんです。平日は中学生レベルの文法書を読み返し、週末に英会話学校の初心者クラスに飛び込みました。英会話学校で貰ったテキストのテープを繰り返し聴いては真似する、書き起こすということをやっていると、洋画を観ている時に時々、字幕を観なくてもわかる場面があって、英会話学校でもその日あった出来事を話せるようになったんです。
そこまで来るのに半年くらい。最初は学生時代を思い出して、知らない単語を辞書で調べては単語帳を作って暗記していましたが、はっきりいって続きません。今より頭がクリアな頃に挫折したことが、記憶力の低下した世代でできるわけがありませんよね(笑い)。
私のおすすめはカーペンターズやビートルズなど、綺麗な発音で比較的スローテンポなアーティストの好きな曲を、何度も聞いて、その通りに歌えるようになる方法です。日本語英語からネイティブの発音に近づけますし、カラオケで披露すれば尊敬されて一石二鳥。英語のモチベーションが落ちてきたときにぜひおすすめします。
今のレベルは日常会話をなんとかこなせる程度でまだまだです。でも、それでいい。気長に楽しくできる趣味の英語なんですから。リタイヤ後の海外旅行はツアーではなく、個人旅行でどこへでも腕試しのつもりで行ってやろうと思っています。
※週刊ポスト2014年12月5日号