「特にオーナー経営者のカリスマ性が目立っているような会社は、これまでも労働法律知識に関係なく生きてきたので、悪い意味で人心掌握術に長けています。

『社長は3日徹夜してこの仕事をやり抜いた』とか、『死にもの狂いで偉業を達成した』など、熱心な“信者”の幹部社員がオーナーのご託宣を並べて社員の気持ちをコントロールする。素直で従順な若者なら、『私も立派な仕事人にならなきゃ』と思い込んでしまうのです」(溝上氏)

 ブラック企業被害対策弁護団の代表を務める佐々木亮弁護士(旬報法律事務所)は、ブラック企業の対処法を常々こう述べている。

<非正規雇用が拡大している中、ブラック企業は転職不安につけこんで過酷な労働条件を押し付けてきます。今の雇用情勢では、ブラック企業なのに辞められない事情も汲まなければなりません。

「辞めないほうが悪い」という言い方は、ブラック企業の存在を肯定したうえに、その責任を働く側に押し付ける冷酷な物言いなのです>

 柔軟な働き方が求められている今だからこそ、冷静に考えてみるべきだ。

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