それぞれの家庭に受け継がれるお正月の風景。映画監督の井筒和幸さん(62才)が、正月の過ごし方について語った。
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ぼくは大みそかから正月にかけて居間の真ん中に炬燵があって、みかんを食べながら家族で団らんするっていう風景が昔から大嫌いやったんです。なんでわざわざ正月に団らんせなあかんねん。あのわざわざの団らんが奇妙だったな。
正月の一家団らんは好きではないけれど、今、市販されているおせちはどうかと思うね。
各家庭の味っていうものがあるわけやし、うちは昔からお母はんが作ってましたよ。黒豆を煮るなんて、技術がいることで、うまくいかないと硬くなったり皮にしわがいったりするわけですからね。それを昔は各家庭の奥方が腕によりをかけて作っていたわけです。
ぼくは今でも正月になると奈良の実家に帰って、みんなでおせちをよばれる。作るのはうちの奥さんとぼくの妹です。
市販のおせちは平均の味。悪いわけじゃないが、やっぱり正月の料理は家族の手にかかったもんでないとあかんと思うね。
※女性セブン2015年1月8・15日号