この人気はどこまで続くのか。フードアナリスト(日本フードアナリスト協会所属)の重盛高雄氏が分析する。
「サイゼリヤの魅力は何といっても値段と品質のバランスがしっかり取れているところ。どのメニューも安かろうまずかろうではなく、値段相応かそれ以上の満足感があります。
また、<普段着で行けるカジュアルレストラン>を掲げている通り、少人数のテーブルやカウンター席もあり、時間帯や人数に関係なくフラリと入りやすい店づくりをしているので、今後も老若男女のリピーターをがっちり掴んでいくと思います」
だが、不安材料もある。ファミレスに限らず国内の外食チェーンはパイの食い合いが激しいうえ、人件費や原材料費の高騰で拡大路線を取りにくい状況にある。サイゼリヤも例外ではなく、国内店舗の新規出店を抑制しているという。
「いつも同じメニューが変わらない値段で置いてあるのがサイゼリヤの特徴ではありますが、移り気な消費者を飽きさせないためには、グランドメニューのほかにサイドメニューや季節メニューをどれだけ拡充させられるかが課題のひとつ。
その際、高価格メニューで一気に敷居を上げても消費者はついてきません。100円のワインならもう少し品質のよい商品群を揃えるなど、無難なステップアップで商品見直しや価格設定をしなければ、かつて1000円ハンバーガーを出して失敗したマクドナルドと同じ轍を踏むことになるでしょう」(重盛氏)
2013年にサンドイッチ店、昨年はパスタの持ち帰り専門店など新たな業態にもチャレンジしてきた同社だが、消費者がサイゼリヤに求める「エブリデー・ロー・プライス」の基本軸がブレれば、さらなる成長軌道は描けないだろう。