あとは、最上の走りを武器に、クルマ離れが叫ばれる若者たちのハートをいかに射止めることができるかだ。スズキの広報担当者は新型アルトのユーザー評価をこう話し、ターボ車への自信ものぞかせる。
「お客様からは、軽量化による燃費の良さとキビキビとした走り、スタイリングの良さなど、商品に対する評価が非常に高く受注は好調です。また、軽セダンクラスのユーザーは女性が中心ですが、新型アルトの特徴として20~40代の男性ユーザーが増えています」
ただ、この<キビキビした走り>を極めたターボ車に、いまの若者たちが一斉に飛びつくかは未知数だ。
「それこそ当時アルトワークスに乗っていたような、いま40代以上のオジサンに聞けば『走りがいい=走行性能がいい』と答えるでしょうが、20代の若者たちは『走り=燃費』がクルマ選びの大きな要素。
もちろんターボRSはアルトワークスに比べたら格段に燃費効率はよくなっていると思います。しかし、それ以上に走りの楽しさをどこまで伝えられるかが、今後の軽市場を占う意味でも重要な戦略といえます」(井元氏)
いくら好調な軽市場といっても、各社の販売競争が過熱しているうえに、今年の4月からは軽自動車税が7200円から1万800円に増税されるなど逆風が吹きそうな気配も。スポーツ車に代表される軽自動車の「個性」を強調したクルマづくりは今後も活発化しそうだ。