緩い規制だからといって安易な条例化は危険だろう。いったん条例が制定されれば、いつでも一方的に喫煙者の権利をはく奪し、法で雁字搦めにすることが可能になる。
「現時点では罰則規定を設けませんが、国が進める健康増進法の流れや社会情勢の変化によって、条例の中身が変わることはあるかもしれません」(川西氏)
この市側の含みを持たせたスタンスを聞けば、少数派である喫煙者の自由を尊重した動きではないことは明らかだ。
折しも、首都・東京では2020年のオリンピックを前に、受動喫煙防止の対策を考える有識者や各種団体を交えた議論が続けられている。
2月12日に開かれた第4回の検討会で、座長である安念潤司氏(中央大学大学院法務研究科教授)は「あくまで私見」と断ったうえで、こんな趣旨の「とりまとめ方針」を示している。
<受動喫煙対策は地域的な特性を持つとは考えにくいので、本来、中央政府が行うことが望ましい。地方自治体が罰則付きの条例を制定することは困難が多く、罰則規定のない条例の効果はガイドラインと変わらない>
実効性のある受動喫煙対策は、規制で縛ればすべて解決とはいかない。ガイドラインの啓発もままならない美唄市が条例化を急いで、果たして官民一体となった取り組みができるのだろうか。