きっかけは、学生広報委員による打ち合わせでSNSの使い方が話題になったこと。大学広報誌2014年10月号の学生担当ページでアンケートを実施し、まとめることで多くの学生がSNS利用の仕方に疑問を抱いているとわかったため、向き合い方として「5つの合言葉」を提案することに決めた。
「担当の学生広報委員10名が、ひとり100個以上のキャッチコピーを考え絞ってゆきました。その過程でさらにアンケートをとるなど学生たちの意見を追加で聞いています。大学公式の媒体に掲載するため大学広報課職員とも綿密な打ち合わせを重ねました。イラストはプロの方にお願いしていますが、言葉は学生が考えたものです。とくにネットの専門家へのアドバイスは求めず、学生自身が書籍や新聞記事などを参考に調べながらつくりました。
伝えたいことがたくさんあるなかで、そのニュアンスをひと言におさめることに徹底しました。SNSの利用頻度は学生のなかでもまちまちです。日常的に使う人だけでなく、普段あまり使わないなどSNSへの関わり方が異なるメンバーが集まって意見を出しあったからこそ、幅広い人に伝えられる合言葉になったと思います」(前出・広報担当)
10~20代の若年層に限ればSNS利用は約9割との調査もあり、ネットはまぎれもない日常の一部となっている。その一方で、悪ふざけ画像をSNSに投稿して炎上する「バカッター」が2013年の新語・流行語大賞にノミネートされるなど、トラブルも頻発している。年齢を区切らない前出の調査によれば「SNSで時間を使いすぎて後悔した」人は29.2%、「SNSで誹謗中傷を受けた人は10.1%にのぼる(ICT総研調べ)。
このような調査結果をみると、安全性を危惧する声ばかりが大きくなりがちだ。しかし、合言葉を担当した学生は「SNSの利用方法を再考することで向き合い方を変えていくことができる」と考えているという。
SNSの利用者は1か月平均で50万近く増えていると言われ、2015年末には6454万人、日本の総人口の半分を超えるとみられている。「5つの合言葉」のような心がけを忘れなければ、SNSだけでなく、現実のコミュニケーションにもよい効果を与えるのではないだろうか。