ビジネス

FXトレーダー・羊飼い氏がスイスフラン急変時に取った行動は

 FX(外国為替証拠金取引)トレーダーに大きな衝撃を与えた1月15日の「スイスフラン・ショック」。カリスマFXトレーダー・羊飼い氏は、突然の為替相場の急変にどう対応したのか。当時の状況を羊飼い氏が振り返る。

 * * *
 金融先物取引業協会が発表した速報値によると、1月のスイスフランの相場変動に伴う国内のFX取引業者の未収金は33億8800万円。未収金とは、口座の資金がゼロになっただけでは済まず、マイナスになった金額のことだ。このうち個人の顧客は1137件で、19億4800万円にのぼるという。

 影響が少ないといわれる日本国内でもこれだけの打撃だ。海外の業者の中には経営に行き詰まるところも出た。ヨーロッパを中心に営業していたFX会社アルパリが破綻したのだ。日本法人であるアルパリジャパンも影響は免れず、顧客が持つすべてのポジションが強制決済されてしまった。

 損切りしようにも取引ができず、逆指値注文も約定せず、強制ロスカットも機能しない今回のようなケースで、投資家は自分の資産を守るために何ができるのだろうか。

 羊飼いは当時、スイスフランのポジションは持っておらず、米ドル円を取引していた。118円台だったレートが突然1円ほど円高に動いたのを見て、何かが起こったと気づいた。

 こうした大きな値動きが出る局面ではその後、揺り戻しが来るケースも多いので、利益を出すチャンスといえないこともない。しかし、羊飼いはこういうときに無理はしないことにしている。というよりも、このときは取引より優先すべきことがあった。

 ここまで異常な値動きをすると、FX会社の中には破綻するところが出てくるかもしれないと思い、資金を入れているすべての口座から半額程度を出金する手続きをしたのだ。

 というのも、羊飼いは2005年に取引していたFX会社の破綻を経験している。当時はまだ信託保全が法的に義務付けられていなかったこともあり、出金できたのは3年も後になってからで、しかも半額しか戻ってこなかった。現在は信託保全が義務化されているので大丈夫とは思ったものの、過去の苦い経験からとりあえず半額は出金の手続きをした。

 幸い、規定通りの期日に振り込みされたし、今のところアルパリジャパン以外では経営に影響したり出金に時間がかかっているところはないようで、ひとまずは杞憂に終わった。

※マネーポスト2015年春号

関連記事

トピックス

浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン