日本の南3200kmに浮かぶ島国パラオを、天皇皇后両陛下が4月8日から慰霊に訪れる。この地は、ペリリューの戦いなど日米の激戦が繰り広げられ、約1万8000人が戦死した、太平洋戦争の大激戦地のひとつだ。
世界屈指の美しい海に囲まれた島には、戦争の爪痕が今も数多く残されている。最後まで戦い抜いた日本将兵が籠もっていた戦闘壕。守備隊を率いた中川州男(くにお)大佐が自決した山頂の司令部壕。ジャングルに一歩足を踏み入れれば、不発弾や兵器の残骸が緑に埋もれている。兵器や基地の跡だけではない。パラオにはいまだ7000柱以上の日本兵の遺骨が眠っているのだ。
第1次大戦後、委任統治を認められた日本政府は教育とインフラ整備に力を入れ、今日のパラオの基礎を作った。この地を計4度訪れたジャーナリストの井上和彦氏は「パラオの人たちはそのことに今も感謝している」と話す。
「日本に親近感を持っているためか、1994年に独立して国旗を決める際に、日本の国旗にちなんだデザインが住民投票で選ばれました」(井上氏)
親日国家パラオ──英霊たちが眠る彼の地のことを、もう一度、思い起こす必要がある。
写真◆『パラオはなぜ「世界一の親日国」なのか』(井上和彦著、PHP研究所)より
※週刊ポスト2015年4月17日号