とはいえボトルネックになるのは料金ではないだろうか。塾などの送迎で日常的に利用するとなると、家計にかかる負担は決して少なくない。実際に「使いたいが、高くて使えない」という声も聞かれた。料金事情について、大手タクシー会社に勤務する都内在中の40代男性はこう話す。
「会社や、ドライバーが仕事をするエリアにもよりますが、歩合制のタクシードライバーにとっては、現状では子供の送迎はそれほどおいしくはないんですよ。特に都市部ですと、普通に走っている方が、正直言って儲かりますからね。あるいは、観光客の多いエリアだと、半日や一日乗ってくれる『観光タクシー』のほうが儲かる。子供さんの送迎って、それほど遠いところには行かないですし、ドライバーの負担も少なくないので。だから料金設定も、それなりの価格にならざるをえないんです。
ただ、需要があることは確かですし、社会的な意義も大きいですよね。乗合タクシーを増やして、一人のお子さんにかかる料金を下げるとか、何か支援策を打ち出してもらうとか、柔軟で視野の広い対応が必要じゃないでしょうかね」
共働き世帯の増加、高齢化、あるいは都市部における乗用車保有率の低下などの環境変化によって、タクシーに求められる役割が拡大・多様化しつつある。