ほかにも又吉は、作品を読む若い人へのメッセージとして、次のように語りました。
「面白い小説がたくさんあるので、僕の小説が合わない人でも、他の小説でという人もいると思うので、僕のを読んであかんかったから小説を読むのやめようというのは……(やめてほしい)。(作家)みんなで背負っていきたい。1人目で読んでいただけるのはうれしいですけど、100冊読んだら絶対本を好きになると思うんですよね。2、3冊の時は難しくてて分からん、ということがある。そこまで頑張ってもらいたい」
本が売れない、とくに小説が売れないと嘆き続きている出版界にとって、なんてありがたく心強いコメントでしょうか。受賞の決定を受けて、版元の文藝春秋は『火花』の大増刷を決定。累計発行部数が104万部に達することを発表しました。今後も、作家としての又吉や純文学作品の『火花』が注目を集めることで、さまざまな波及効果が表われて、出版界や小説界隈が活気づくに違いありません(希望的観測)。
芸人と作家の両立はたいへんでしょうけど、持ち前の大人力でやっかみや雑音を適当にスルーしつつ、いろんな才能をさらに大きく華麗に開花させてくれるでしょう。2作目も楽しみです。スポーツ新聞に「又吉、今度の小説も、またよし!」といった見出しが躍る光景が、今から目に浮かびます。